近年YouTubeの視聴者数は右肩上がりで増えています。Googleからは下記の数字が発表されています。
2020年は新型コロナウイルス感染症による外出自粛の影響で、自宅で過ごす時間が増えたことによって動画サービスを利用者が飛躍的に増加し、2020年9月のYouTube月間利用者数は6,500万人を超えた。
市場全体が活性化しているYouTubeを活用して商品PRやブランディングなどマーケティングをしたいと考えている企業さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、YouTubeチャンネルを開設して動画を投稿してみたものの思うように視聴回数や登録者数が伸びず、運用に苦戦するケースも少なくありません。
YouTubeで成功をおさめるには単に動画を制作して投稿するだけでなく、YouTubeアナリティクスでアクセス解析をしてPDCAを回し、その後の成果につなげていくことが重要です。
この記事では自社で運用しているチャンネル登録者2.19万人(※2021年10月時点)のYouTubeチャンネルを事例に出しながらYouTube動画マーケティングの初心者向けに、YouTubeアナリティクスの概要と注目するべき5つの指標について解説します。
YouTubeアナリティクスを上手に活用して、自社の動画マーケティングを活性化させましょう!
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
Contents
YouTubeアナリティクスとは
YouTubeアナリティクスとは、YouTubeに投稿した動画やチャンネル全体のアクセス解析ができるツールです。YouTubeのアカウントを持っている人なら、特別な設定は必要なく誰でも無料で利用可能です。
再生数や視聴者数はもちろん、どんな人が視聴しているのか、視聴者がどこから流入してきているのかなどを分析して人気のあるコンテンツづくりに生かすことができます。
アプリ「YouTube Studio」をスマホにインストールすれば、スマホからもYouTubeアナリティクスを利用できます。
関連記事:『YouTube広告の広告効果は?注意すべき5つのポイントを解説!』
YouTubeアナリティクスの使い方
「YouTube Studio」を選択する
YouTubeアカウントにログイン後、右上のプロフィールアイコンをクリックし、「YouTube Studio」を選択します。
チャンネルのダッシュボードを確認する
チャンネルのダッシュボードが表示されます。ここではYouTubeチャンネルの最近のアクティビティの概要や、YouTube の新機能などの情報を確認できます。より詳細なデータを見るために、左メニューバーの上から4番目にある「アナリティクス」を選択します。
動画のパフォーマンスの概要を確認する
アナリティクスには「概要」「リーチ」「エンゲージメント」「視聴者」「収益」という5つのタブがあります。
最初に表示される「概要」タブでは自分のチャンネルや動画のパフォーマンスの概要を確認できます。具体的には以下の情報が表示されます。
- 視聴回数
- 総再生時間
- チャンネル登録者数
- 推定収益 (YouTube パートナー プログラムに参加している場合)
- 通常のパフォーマンス
- 最新の動画
- 人気の動画
- リアルタイム ※過去48時間または60分間のリアルタイムチャンネル成績
YouTubeチャンネルのパフォーマンス結果についてフィードバックが掲載されることもあります。
毎回表示されるわけではありませんが、心当たりのある要因があれば見直しすると良いでしょう。
「リーチ」タブを確認する
「リーチ」タブでは視聴者がどのようにして自分のチャンネルを見つけたのかを確認できます。具体的には、以下の情報が表示されます。
- インプレッション数
- クリック率
- 視聴回数
- ユニーク視聴者数
- トラフィック ソースの種類
- インプレッションと総再生時間の関係
- トラフィック ソース:外部サイト
- トラフィック ソース:再生サイト
- トラフィック ソース:外部サイト
- トラフィック ソース:関連動画
- トラフィック ソース:YouTube検索
「エンゲージメント」タブを確認する
「エンゲージメント」タブでは視聴者がどのくらい自分の動画を見ているかを確認できます。具体的には、以下の情報が表示されます。
- 総再生時間
- 平均視聴時間
- 視聴者維持に関する重要なシーン
- 人気の動画
- 上位の投稿
- 上位の再生リスト
- 終了画面で人気の動画
- 上位のカード
- 人気の終了画面要素の種類
「視聴者」タブを確認する
「視聴者」タブでは自分の動画を見ている視聴者の概要を確認できます。具体的には、以下の情報が表示されます。
- リピーター視聴者数
- ユニーク視聴者数
- チャンネル登録者数
- 視聴者がYouTubeにアクセスしている時間帯
- このチャンネルの視聴者が見ている他のチャンネル
- チャンネル登録者のベル通知設定状況
- 視聴者が再生した他の動画
- チャンネル登録者の総再生時間
- 視聴者の地域
- 視聴者の年齢と性別
- 字幕の利用が上位の言語
関連記事:『【すぐわかる】YouTube広告のターゲティング2種類と使い方を解説!』
「収益」タブを確認する
「収益」タブではYouTubeパートナープログラムに参加している場合にYouTubeでの収益を確認できます。具体的には、以下の情報が表示されます。
- 推定収益
- RPM ※視聴回数1,000回あたりの収益額
- 再生回数に基づくCPM ※収益化対象再生1,000回あたりの広告主の支払額
- 月別の推定収益
- 収益額が上位の動画
- 収益の内訳
- 広告の種類
- トランザクション収益
「詳細モード」で投稿動画毎の成績を確認する
画面右上にある「詳細モード」を選択します。
ここでは投稿動画毎の成績が表示されます。表示されている情報はGoogleスプレッドシートまたはエクセルファイル形式でダウンロードできますので、一度ファイルに落としてから動画の比較や分析を行うと良いでしょう。
YouTubeアナリティクスで注目したい5つの指標
ここまで紹介した通り、YouTubeアナリティクスが提供するデータや指標は非常に多いため、すべてを網羅的に見るのではなく、目的に合わせて指標を分析することが大切です。
チャンネルの改善につながりやすい、特に注目するべき指標として以下の5つが挙げられます。
- インプレッションのクリック率
- 視聴維持率
- トラフィックソース:YouTube検索
- 視聴者の属性
- 視聴者が再生した他の動画
1つずつ詳しく解説します。
インプレッションのクリック率
「インプレッション」とは、サムネイルがYouTubeに1秒以上表示された回数を示します。検索結果、おすすめ、再生リストなど、YouTubeのどこかの画面に、サムネイルが表示されたことを示します。
一方、「クリック率」とは、サムネイルが表示された回数の内、クリックされた割合を示します。
仮に関連動画やブラウジング動画の枠にたくさんサムネイルが表示されても、クリックされなければ動画の再生数は伸びません。
視聴者に動画を見てもらう機会を少しでも増やすためにはクリック率を高めることが大切です。
クリック率を高めるにはいかにターゲット視聴者の興味を引く動画のタイトルとサムネイル画像を設定できるかがポイントです。
競合の人気動画を調査してタイトルやサムネイルの作り方を研究することをオススメします。
タイトルについてはキーワードの盛り込み方や文字数、サムネイルについては画像の使い方やテキストのフォントスタイル、文字の大きさ、色の使い方などを参考にすると良いでしょう。
サムネイルは複数のパターンを作成し、それぞれの数値を比較することで、どのようなサムネイルが視聴者に好まれるか模索することも大切です。
クリック率が高くても動画視聴維持率などの数値が低いと再生数が伸びない場合があったり、逆にクリック率が低くても検索ワードを上手に拾って再生数が大きく伸びる場合もあるので一概にこれだけクリック率があれば良いとは言えません。
ただ1つの目安として7%~12%程度あれば動画投稿から半年経過しても再生数の上昇が期待できます。
関連記事①:『YouTube漫画動画の作り方!大切な4ステップを解説!』
関連記事②:『YouTube広告のABCDフレームワークとは? 5つの海外成功例で解説』
視聴維持率
視聴維持率は平均再生率とも呼ばれクリック率と同じく重要な指標です。視聴者が動画をどれくらい見続けていたかを示し、視聴者がいつ視聴を止めたのかもわかります。
最初に、なぜ視聴維持率が重要なのかをお話しします。YouTubeでは再生回数よりも総再生時間で動画を評価しています。
YouTube公式は総再生時間について「視聴者が動画を視聴した時間の長さ」として定義しています。実際の画面上では分単位で表されます。
再生回数と総再生時間の大きな違いは、後者は視聴者が動画をきちんと見る必要があるという点です。
総再生時間の多い動画がすなわち視聴者から支持されている動画となりYouTubeではそういった動画が高評価につながる仕組みとなっています。
参考:『YouTube Creator Academy | チャンネル パフォーマンスの概要を把握する』
ただし総再生時間の数字だけ見ても動画を評価・分析することは難しいので視聴維持率を利用します。
視聴維持率が高い動画ほど再生時間も増えやすいという考え方であり、動画のどの場面で維持率が低下しているのかを見極めて次回に生かすこともできます。
視聴維持率は動画が長いほど下がる傾向がありますが、1つの目安として5分程度の動画であれば視聴維持率が50-60%程度あると関連動画やブラウジング動画のインプレッションが増えて動画再生数が伸びやすくなります。
サムネイルやタイトルと動画の中身がまったく違う場合、視聴者は期待した動画と違うと判断してすぐに視聴を止めて視聴維持率が大きく低下することもありえるのでサムネイルやタイトルを作るときは動画の内容と一貫性を持たせるようにしましょう。
動画の内容については視聴維持率のグラフを見て、視聴維持率が高くなる所と低くなる所を抜き出し、それぞれに傾向があるかを分析して次の動画づくりに生かしましょう。
参考:『YouTubeヘルプ 視聴者維持率を左右する重要なシーンを測定する』
トラフィックソース:YouTube検索
視聴者がどのようなワードで検索をして動画に辿り着いたか確認することも大切です。
視聴者の興味のあるワードが自社の狙いたいワードと一致していた場合、そのワードを意識して動画の内容やメッセージを作成したり、タイトルや動画の説明文、メタキーワードを設定すると良いでしょう。
おすすめ動画などからの流入に比べて爆発力はありませんが、検索ワードを確実に拾うことで安定的に再生されやすくなります。
以下は、おすすめ動画で大きな流入があった後も地道に検索流入で再生数を稼いでいる動画の事例です。動画投稿から1年以上経過しても検索流入で毎日コツコツ再生されています。
すでに流入のあるキーワードだけではなく、自分自身が狙いたい潜在的な検索キーワードを探す場合はYouTubeの検索キーワードサジェストやKeyword Toolを利用する方法が挙げられます。
YouTubeの検索キーワードサジェストとは「予測表示」のことで、入力したキーワードと一緒に検索される可能性が高い別のキーワードのことです。
サジェストの中から狙いたいキーワードをピックアップする方法が選定の第一歩ですが、あくまでサジェストは検索回数が多いキーワードからの予測に過ぎず時事によっても変化するため参考程度で見るのが良いでしょう。
Keyword Toolは無料で利用できるツールです。調べたいキーワードのサジェスト(関連キーワードの予測表示)に加えて検索ボリュームも表示されるため、狙っているキーワードがどれくらい検索されているのかが分かります。無料版だと上位5つのサジェストまで見ることができます。
無料で試しに利用してみて、より詳細な情報を分析したくなった際に有料に切り替えるのも良いかもしれません。
また、狙うキーワードがビデオキーワードであるか意識することも大切です。ビデオキーワードとは、YouTube検索だけでなく、Google検索でも動画が上位表示されるキーワードのことです。
たとえば図のように「動画制作」とGoogleで検索すると動画制作に関係する動画が表示されます。
このキーワードをタイトルや説明文、メタキーワードに取り入れることでGoogle検索結果にも表示されやすくなりYouTube動画へアクセスされることが期待できます。
なお何がビデオキーワードなのかは公開されていないので自分で気になったキーワードでGoogle検索して動画が表示されるか調べる必要があります。
視聴者の属性
動画やチャンネルを見ている視聴者の特徴を知ることで、どのような動画を制作し、どのように宣伝すればよいかを判断する材料になります。
たとえば「年齢と性別」に注目した場合、若い女性をターゲット視聴者として設定して動画を制作しているのにアナリティクスのデータでは年配の男性が視聴の大半だった場合は動画のメッセージの伝え方やデザインを検討しなおす必要があるかもしれません。
もしくは新たなニーズの発見につながる可能性もあります。
「上位の地域」に日本以外の国からも視聴があるか確認することも大切です。一定の視聴がありその国の第一言語の字幕を作成していない場合は、字幕を用意することで、その地域からの再生が伸びる可能性もありますので定期的に視聴者データを確認してみましょう。
関連記事:『5大SNS広告運用入門!適したターゲットや特徴を解説!』
視聴者が再生した他の動画
自分のチャンネルの動画を見ている視聴者が他にどんなチャンネルや動画を見ているのかを確認できます。
ここに表示されるチャンネルや動画を見て、自分のチャンネルに集まる視聴者がどのような動画を好むかを分析し次回の動画づくりに生かしましょう。
たとえば、チャンネル全体で分析するなら雰囲気や動画の投稿頻度、再生リストの作り方、動画ごとで分析するなら動画の長さや動画の構成、メッセージの伝え方、サムネイルのデザイン、動画のタイトルのつけ方、説明文の書き方などを確認して良いと思ったところを取り入れるという施策が挙げられます。
ただし、あまりにも模倣しすぎると他のチャンネルのファン視聴者から指摘が入り、ネガティブなコメントを書かれたり低評価をつけられる可能性もあります。
差別化すべきところは明確に違いを出すよう意識してコンテンツ設計することをオススメします。
以上、5つの指標を意識してYouTubeアナリティクスを上手に活用し、より視聴者に好まれる動画づくりをしていきましょう。
成果をすぐに出したいときはYouTube広告活用も検討
ここまでYouTubeアナリティクスを使った動画を改善するポイントをご紹介しましたが、動画を改善して投稿を続けてもすぐに成果を出すことは簡単なことではありません。地道な努力を継続的に続ける必要があります。
もしもすぐに成果を出す必要がある場合はYouTube動画広告の運用も視野に入れると良いでしょう。YouTube動画広告はGoogle広告から設定が可能であり、短期間で多くの視聴者に情報を配信できます。
ただし、やみくもに広告を利用してもターゲットではない視聴者に情報が配信されたり、知ってもらいたい情報を十分に伝えることができなかったり等の問題が発生して余計な広告費用が発生してしまう恐れもあります。
YouTube広告の理解を深めてから実施することをオススメします。
もしも、運用代行を検討するのであればYouTube広告用の動画制作および運用実績が豊富なUnionに任せるのも一つの手です。蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
また、弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っております。薬事法管理者が在籍しておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。