YouTubeの国内利用率は85.2%に達しており(2021年1月時点)、1日の平均利用時間は10代で40.7分、20代で34.5分という特徴を持っています(2021年5月時点)。
また「TesTee Lab」の調査では、10代の69.9%が「YouTubeに関係する消費行動を実行したことがある」と回答しています(2020年9月時点)。
そんなYouTube広告には、「オーディエンスターゲティング」と「コンテンツターゲティング」の2種類のターゲティング方法があります。
それぞれ詳細な設定項目があり、目的に応じて最適なターゲティングを行うことで、広告効果を最大化させることができます。
「YouTube広告の成果が上がらない」「広告を最適なユーザーに届けたい」という方に向けて、今回はYouTube広告のターゲティングの基礎から活用方法、注意点などを解説します。
参考:『令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省』
参考:『スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021|Glossom株式会社』
参考:『YouTuberに関する調査|TesTee Lab』
Contents
ターゲティングとは
ターゲティングとは、商品を売る相手/市場(ターゲット)を絞り込むことを指します。
ユーザーの基本情報、興味関心、行動などの情報を使用して、自社の商品やサービスに興味のあるユーザーを絞り込むことで、認知拡大やコンバージョン獲得に繋げることができます。
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
YouTube広告のターゲティング2種類
YouTube広告のターゲティング方法は大きく分けて2種類あります。
- オーディエンスターゲティング:「人」で絞り込むターゲティング
- コンテンツターゲティング:「配信場所」で絞り込むターゲティング
それぞれのターゲティングの特徴について、以下で詳しく解説します。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングとは、「人」を絞り込むターゲティング方法で、ユーザーの年齢や性別、閲覧履歴などをもとに絞り込みます。
オーディエンスターゲティングの主な項目は以下の通りです。
内容 | |
ユーザー属性グループ | 年齢・性別・子供の有無・世帯収入で絞る |
詳しいユーザー属性 | 学生・住宅所有者・最近子供が生まれたなどのより詳しい情報で絞る |
興味/関心 |
ライフスタイル、趣味、習慣などをもとに自社の商品に関心があるユーザーを絞る |
よりユーザーを絞り込んだアフィニティカテゴリ | |
引越し・大学卒業・結婚など人生の節目で購入行動が変わると見込まれるユーザーにアプローチする | |
自社の商品に似たものを調べている購買意欲の高いユーザーにアプローチする | |
指定したキーワードやURLから最適なオーディエンスタにアプローチする | |
データセグメント | YouTubeチャンネルとGoogle広告アカウントをリンクさせ、過去に広告主の動画・動画広告・YouTubeチャンネルを訪れたことがあるユーザーにアプローチする 参考:『YouTubeユーザーにリーチを拡大する|YouTubeヘルプ』 また、広告主のサイトやアプリと接触したことがあるユーザーにアプローチすることも可能 |
カスタマーマッチ | 既存の顧客の情報をもとに再アプローチを試みたり、類似顧客を探す |
類似セグメント | データセグメントやカスタマーマッチセグメントの情報をもとに類似した特徴を持つ新規ユーザーにアプローチする |
参考:『オーディエンス ターゲティングについて|Google広告ヘルプ』
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは、広告の「配信場所」を絞り込むターゲティング方法で、指定したトピック・キーワードなどと関連性の高い動画やチャンネルに広告を配信することができます。
コンテンツターゲティングの主な項目は以下の通りです。
内容 | |
プレースメント | YouTubeチャンネル・動画・サイト・アプリなど広告の配信場所を指定する |
トピック | YouTubeとGDN上の特定のトピックを選択し、そのトピックと関連性の高いYouTubeチャンネル・動画・サイトに広告を配信できる 例:アート/仕事/教育/美容など |
キーワード | 指定したキーワードと関連性の高いYouTubeチャンネル・動画・サイトに広告を配信できる |
デバイス | パソコン・スマートフォン・モバイル・テレビ画面(Chromecast)など端末別に広告の配信場所を指定する |
参考:『動画キャンペーンのターゲティングについて|YouTubeヘルプ』
その他のターゲティング
地域
広告を配信する国・市区町村・管轄区域を指定する、またはその地域に定期的に訪れるユーザーに広告を絞り込むことができます。また、特定の地点から半径での指定も可能です。
言語
言語を指定すると、ユーザーの言語設定やGoogle上のアクティビティをもとに、指定した言語を理解できる可能性の高いユーザーに広告を配信することができます。
曜日・時間帯
指定した曜日・時間帯にのみ広告を表示させることができます。また、曜日・時間帯によって入札単価を引き上げる、または引き下げることも可能です。
参考:『広告のスケジュール設定について|Google広告ヘルプ』
効果を高めるターゲティングのポイント
ここからは、実際にターゲティングを行う際のポイントを7つ解説します。
配信目的を決める
まずは、YouTube広告を配信する目的を決めましょう。なぜなら、商品やブランドの認知拡大を目的とするのか、売上を目的とするのかでターゲティング方法が異なるからです。
目的は以下の3段階に分けられます。
- 認知
- 検討
- 行動
この段階は、消費者が商品やサービスを購入するまでのプロセスを表しています。自社の商品がどの段階に当てはまるのか確認しておきましょう。
「認知」を目的とする場合
まだ、自社の商品やサービスを知らないユーザーに対して認知度を高めたい場合は、次のオーディエンスターゲティングを活用しましょう。
- ユーザー属性グループ(詳しいユーザー属性)
- アフィニティセグメント
- カスタムセグメント
アフィニティセグメントでは、スポーツ/フード/美容などのカテゴリを選択することで、関連ユーザーにアプローチすることができます。必要に応じてユーザー属性と組み合わせることで効果を高められます。
また、カスタムセグメントでは自身でキーワード・URLなどを入力し、自由にオーディエンスを作成することができます。
アフィニティカテゴリではリーチできないような、マニアックなユーザーへのアプローチが可能です。
「認知」段階では、ターゲットを絞り込みすぎないことがポイントです。
関連記事:『Google広告のブランド効果測定とは?10ステップで調査開始』
「検討」を目的とする場合
自社の商品やサービスを比較検討リストに追加してもらいたい場合は、次のオーディエンスターゲティングを活用しましょう。
- ライフイベント
- 購買意向の強いセグメント
- カスタムセグメント
ライフイベントでは、引越し・大学卒業・結婚など人生の節目において、購入行動が変わる見込みのあるユーザーにアプローチすることができます。
例えば、ドレスショップであれば、「結婚」を選ぶことで、自社のドレスを選択肢に入れてもらえる可能性が高まります。
また、購買意向の強いセグメントでは、自社の商品やサービスに似ているものを積極的に調べ、購入しようとしているユーザーへのアプローチが可能です。
「検討」段階では「認知」より確度を上げたターゲティングがポイントです。
「行動」を目的とする場合
YouTube広告を見たユーザーに自社の商品やサービスを購入してもらいたい場合は、次のオーディエンスターゲティングを活用しましょう。
- データセグメント
- カスタマーマッチ
- 類似セグメント
- カスタムセグメント
データセグメントでは、過去に広告主の動画を見たユーザーや、何度もサイトに訪れている自社への関心が高いユーザーに、広告を配信することができます。
また、カスタマーマッチを使用すると、既存の顧客にリマーケティングすることが可能です。
最適化された動画広告でカスタマーマッチを使用した場合、コンバージョン率が増加することが分かっています。
「行動」段階では、リマーケティングや類似ユーザーへのアプローチなど、購入可能性の高いユーザーへの絞り込みがポイントです。
目的別ターゲティング一覧
ターゲティング | 認知 | 検討 | 行動 |
ユーザー属性 | 〇 | ||
アフィニティセグメント | 〇 | ||
ライフイベント | 〇 | ||
購買意向の強いセグメント | 〇 | ||
カスタムセグメント | 〇 | 〇 | 〇 |
データセグメント | 〇 | ||
カスタマーマッチ | 〇 | ||
類似セグメント | 〇 |
参考:『YouTubeを使ってマーケティングジャーニーのあらゆる段階で最適なオーディエンスにアプローチ|Google広告ヘルプ』
フリークエンシーを設定する
フリークエンシーとは、ユーザーが広告に接触した回数のことです。フリークエンシーの回数が多ければ、成果が上がるわけではないので注意が必要です。
例えば、視聴したいYouTube動画があるのに、その動画を見る前に関係のない広告が何度も表示されると、ユーザーは不快感を抱いてしまう恐れがあります。
フリークエンシーの最適回数は、商材やCPA(顧客獲得単価)によって異なるため、テストをしながら調整する必要があります。
「○回だとCPAが高くなる」「○回だとCVが下がる」というような結果から、フリークエンシーの最適回数を見つけましょう。
フリークエンシーの設定方法
- メニューから「設定」をクリックし、キャンペーンを選択
- 「その他の設定」をクリック
- 「フリークエンシーの管理」≫「設定を行なう」を選択
リマーケティングを行う
YouTube広告のリマーケティングとは、過去に広告主のYouTube動画・チャンネルを訪れたことがあるユーザーに対して、 広告を配信する手法です。
YouTube広告では以下の行動を行ったユーザーに広告を配信できます。
- チャンネルの動画を視聴
- 特定の動画を視聴
- チャンネルの動画を(広告として)視聴
- 特定の動画を(広告として)視聴
- チャンネル登録
- チャンネル ホームページにアクセス
- チャンネルの動画を高く評価
- チャンネルの動画を再生リストに追加
- チャンネルの動画を共有
リマーケティングのメリット
- 興味関心のあるユーザーに絞ってアプローチができる
- 詳細なターゲティング設定ができる
- 広告の無駄打ちが減り費用対効果が高まる
リマーケティングリストの作成方法
- 「ツールと設定」≫「オーディエンスマネージャー」を選択
- 「+」をクリックし、「YouTubeユーザー」を選択
- リストに詳細情報を入力し、「作成」をクリック
関連記事:『YouTube広告の広告効果は?注意すべき5つのポイントを解説!』
プレースメントの除外
プレースメントでは、特定のYouTubeチャンネルや動画などを指定し、広告を配信/除外することができます。
「このYouTube動画には広告を配信させたくない」という場合は、除外設定を行ないます。
YouTubeには様々な動画があるため、中にはブランドのイメージを損なうような動画に広告が配信されることがあります。
そのため、定期的に広告が配信された場所を確認し、ブランドにふさわしくない、CVに繋がらない動画に配信されている場合は、除外することを検討しましょう。
配信場所の確認方法は「管理画面≫コンテンツ≫広告が表示された場所」からチェックすることができます。
プレースメントの除外方法
- Google広告アカウントにログイン
- 「ディスプレイキャンペーン」を選択後、編集するキャンペーンの名前をクリック
- 除外設定を行なう広告グループの名前をクリック
- ページメニューから、「プレースメント」≫「除外設定」をクリック
- 鉛筆マークをクリックし、「プレースメントを除外」をクリック
- 「YouTubeチャンネル」「YouTube動画」を選択し、検索フィールドで検索する
- 除外する各プレースメントのチェックボックスをオンにする
※複数のプレースメントを除外するには、「複数のプレースメントを入力」をクリックしURLを入力する。(キャンペーンごとに最大10,000件除外可能) - 「〇個のプレースメントを追加」をクリックし、「保存」をクリック
参考:『YouTubeにディスプレイ広告を掲載する|Google広告ヘルプ』
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
配信スケジュールを調整する
ユーザーのYouTube視聴時間帯に合わせて配信曜日・時間帯を調整することで、効率的に広告を配信することができます。YouTubeの視聴時間帯は以下の通りです。
YouTubeを視聴する時間帯の割合を時間帯別に見てみると「夜の初めごろ(19時~21時)」が36.4%と最も高く、次いで「深夜(22時~24時)」となっており、会社や学校から帰宅したあとの時間帯が多いようです。
曜日/時間帯でのCV獲得率なども確認しながら、配信時間を調整しましょう。
配信スケジュールの調整方法
- 左側のページメニュー「+もっと見る」から「広告のスケジュール」を選択
- 調整したいキャンペーンを選択
- 鉛筆マークをクリックし、曜日・時間帯の設定を行なう
参考:『広告のスケジュールを設定する|Google広告ヘルプ』
Googleアナリティクスと連携する
Googleアナリティクスとは、Googleが提供するアクセス解析ツールです。基本的には無料で利用できます。
Google広告アカウントとGoogleアナリティクスを連携させることで以下のメリットが期待できます。
- 本格的な分析ツールが使用できる
- 分析結果に基づいてより細かいターゲティングが可能になる
- Googleアナリティクスコミュニティでエキスパートに質問ができる
Find My Audienceを利用する
Find My Audienceとは、Think with Googleが提供する無料ツールで、購買意向の強いオーディエンスやアフィニティカテゴリを選択し、そのカテゴリのユーザーと関連性の高いユーザー層見つけることができます。
例えば、アフィニティカテゴリから「スポーツ、フィットネス」≫「スポーツファン」を選択した場合、以下のように「スポーツファン」と関連性の高い、YouTubeチャンネルやユーザー層を見つけることができます。
ターゲティングの成功事例
Majestic Heli Ski
Majestic Heli Skiは、ユニークなヘリコプター輸送サービスの会社です。
アラスカの遠隔地へとお客様をヘリコプターでお連れし、広大な山々を眺めながら未踏の銀世界を滑り、高級感のあるロッジで休んでいただきます。
YouTube動画広告のターゲティング機能を効果的に用いて、「主なお客様の年齢層のユーザー、スキーが盛んな地域のユーザー」「スキー場や特定のスキー競技をオンラインで検索しているユーザー」などに積極的に広告表示をしました。
成果
- 過去5年間の顧客ベースの拡大率:400%
- YouTube導入以降の年間売り上げ増加率:25%
- 顧客の約半数がYouTubeをきっかけにサービスを利用している
実践内容
- オーディエンスターゲティング:ユーザー像の絞り込み
- 地域ターゲティング:スキーが盛んな地域を絞り込み
- カスタムセグメント:スキー場やスキー競技を検索しているユーザーへのアプローチ
株式会社明治
株式会社明治は、チョコレートの会社でYouTube広告を利用してバレンタインデーに向けた施策を打ち出しました。
成果
- バレンタイン訴求:YouTube TrueView インストリーム
- 視聴率:34%
- 視聴単価:6 円 (配信初期段階は 3円)
- サーチリフト(The chocolateザ・チョコレートザチョコなど):451%
実践内容
- 「チョコレートこだわり層」と「購入意向の強い層」をターゲティング
- 30秒の印象に残るクリエイティブを作成
参考:『明治ザ・チョコレートのセグメントリーチ戦略:細分化された生活者ニーズに合わせ、効果的にメッセージを届ける広告プランニング』
関連記事:『YouTube広告のABCDフレームワークとは? 5つの海外成功例で解説』
注意点
ターゲットを絞り込みすぎない
色々なターゲティング項目があるからと言って、初めからターゲットを絞り込みすぎてしまうと、狭い範囲にしか広告が配信されなくなってしまう恐れがあります。
例えば、若年層へ化粧品を販売する場合、初めから10~20代に絞り込むと、30代でその化粧品を購入する可能性があるユーザーを逃してしまいます。
動画広告の長さ
15秒を超えるインストリーム広告(スキップ不可)は許可されていないので注意が必要です。
スキップ可能なインストリーム広告には時間の制限はありません。
動画広告のデータ収集
以下のデータ収集方法は禁止されています。
・トラッキングピクセル(後続の呼び出しも含む)がSSLに対応していない
・トラッキングピクセルがミッドポイントイベントや完了イベントで使用されている
・1つのイベントに3個を超えるトラッキングピクセルが含まれている
・データ収集にJavascriptを使用している
出稿不可コンテンツ
不明確なコンテンツ
広告の内容が容易に理解できる内容で、宣伝する商品・サービスが明確に識別できる必要があります。
また、広告主の商品やサービスの名前やロゴも必要です。
性的なコンテンツ
安全な広告を提供するため、Googleは特定の性的なコンテンツを制限しています。詳細は以下のサイトをご覧ください。
衝撃的なコンテンツ
ユーザーに強いショックを与える可能性のあるコンテンツを広告で使用することはできません。これには、わいせつな言葉、陰惨な表現、残虐な映像などが該当します。詳しくは、衝撃的なコンテンツに関するポリシーをご覧ください。
参考:『不適切なコンテンツ|Google広告ポリシーヘルプ』
以上の不明確・性的・衝撃的なコンテンツは出稿することができないので注意が必要です。
関連記事:『リスティング広告の審査対策5選【Google広告・Yahoo!広告】』
まとめ
今回はYouTube広告のターゲティングについて詳しく解説しました。YouTube広告のターゲティングは種類が多く複雑に感じる方もいらっしゃると思います。
少しでも「難しい」「わからない」と感じたら、ぜひ弊社へご相談ください。
株式会社Unionは、YouTube広告をはじめとするGoogle広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っております。お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。