Webマーケティングの手法として、ウェビナーマーケティングが注目を浴びています。
ITRの独自調査『Web会議市場規模推移および予測』では、ウェビナーを含めるWeb会議市場規模は2021年は326億円で、2025年には478億円になると予測されています。
年間のCAGR(年平均成長率)は13.2%と市場拡大していくことが予測されているのです。
ウェビナーマーケティングに取り組むと、どのような効果があるのでしょうか。
今回はウェビナーマーケティングについて詳しく解説します。
この記事を読めば、ウェビナーマーケティングの手順や成功させるコツが分かるため、ぜひ参考にしてみてください。
ウェビナーマーケティングとは
ウェビナーマーケティング(Webinar Marketing)とは、リード獲得やリード育成の営業プロセスの至るところにウェビナーを組み込み、顧客生涯価値(顧客1人が企業にもたらす利益)の最大化を図るマーケティング手法です。
新型コロナウイルスで対面でのセミナーが難しくなり、新たな開催方法としてウェビナーが注目を浴びました。
参考:『DXログ ウェビナーとは?その特徴やメリット・デメリットを解説』
メリット
ウェビナーマーケティングのメリットは3つあります。
集客力が高い
ウェビナーは、配信URLにアクセスするだけで視聴できます。
セミナー会場へ移動する必要がないため、移動時間が短縮できたり交通費が節約できたりします。
そのため、「セミナー内容に興味はあるけど移動時間がもったいない」と考えている顧客も気軽に参加できます。
インターネットが繋がる場所であれば、誰でもウェビナーに参加できるため、国外・国内問わずに集客可能。
オンラインならではの集客力が最大のメリットです。
セミナーと比較してコストが安い
セミナーを主催する場合は以下の費用が必要です。
セミナーの主催費用
- 会場の使用料金:15~30万円
- 人件費:15~25万円
- 機材費:5~10万円
- 合計:35~65万円
その一方で、ウェビナーはオンラインで開催するため会場を借りる必要はありません。
オンライン上で配信するため、事前に配布する物もありません。
また、ウェビナーの動画を事前に撮影しておけば、登壇者の人件費が不要となります。
動画配信のための必要機材も最低限で済むため、コストが安く抑えられます。
参考:『アイミツ イベント制作会社の平均費用と料金相場|早見表つき【2022保存版】』
二次利用ができる
ウェビナーの映像は二次利用できることも大きな魅力です。
ウェビナー動画を自社ホームページ上で公開しておけば、好きなときに視聴してもらえるようになります。
また、動画はSNSとの相性も良いです。映像視聴のURLをSNSに貼り付ければ拡散してもらえます。
参考:『ITトレンド ウェビナーとは?メリット・デメリットなどを分かりやすく解説!』
デメリット
ウェビナーマーケティングのデメリットは3つあります。
動画配信のスキルが必要になる
ウェビナーを主催するためには、以下のような動画撮影スキルを所有しておかなければいけません。
動画制作のスキル
- 企画
- シナリオ作成
- 絵コンテ作成
- 撮影
- 編集
- 音入れ
社内に適任者がいない場合は、専門業者に外注しなければいけません。
近頃は、ウェビナーを簡単に主催するためのツールが登場しています。
しかし、ウェビナーツールの操作方法を覚えるのも想像以上に大変です。
関連記事:『【無料】動画に使えるBGM素材サイト14選!TikTokやYouTubeに!』
配信トラブルのリスクがある
ウェビナーを配信するためには、適切なネットワーク環境を整備して、必要な機材・設備を用意する必要があります。
これらに不備があると、映像や音声が途切れるなどのトラブルが発生します。
最後まで映像が配信されていても、音声が聞こえなければ意味がありません。
ウェビナー参加者は不満を募らせて途中退席してしまうでしょう。
参加者の途中離脱が発生しやすい
ウェビナーは参加者の途中離脱が起きやすいです。
その理由は、デバイスの電源を切ってしまえば、途中退席ができるためです。
ウェビナーは主催者や参加者と対面していないため、途中退席しやすいことが大きな特徴となっています。
このような気軽さは、ウェビナー参加者側のメリットになりますが、企業側からするとデメリットです。
参考:『わしづかみウェビナー ウェビナーは途中退出できる?参加者の離脱を防ぐためのアドバイス7選』
参考:『ITトレンド ウェビナーとは?メリット・デメリットなどを分かりやすく解説!』
ウェビナーマーケティングの3つの効果
ウェビナーマーケティングは「見込顧客の獲得」「顧客育成」「購買促進」に効果を発揮します。
それぞれの効果について具体的に解説していきます。
見込顧客の獲得
具体的なターゲット層を描いて「どのような人にウェビナーに参加してもらいたいか」という人物像を明確にして、興味・関心を持ってもらえる企画を打ち出せば、多くの参加者を募れます。
ウェビナーに参加するための申込み情報を得られれば、見込顧客が獲得できます。
InsideSales.comの独自調査では、営業部門やマーケティング部門の責任者の約73%が、ウェビナーが見込顧客の獲得に効果的だと述べています。
そのため、見込顧客を獲得するためにウェビナーを開催しましょう。
顧客育成
自社製品や自社サービスの購買にまで至っていない見込顧客を育成するときにも、ウェビナーは効果的です。
その理由は、見込顧客にとって有益な情報を提供すれば信頼関係が構築できるためです。
例えば、見込顧客が実現したい要望や解決したい課題などを汲み取り、それらのノウハウを公開するウェビナーだと満足してもらえます。
MakeSocialMediaSell社の独自調査では、ウェビナー参加者の約40%が離脱をせずに最後まで参加していると述べています。
この結果から分かるように、ウェビナーは顧客育成に最適です。
参考:『Make Social Media Sell | How to sell using Webinars in 5 steps』
購買促進
購買促進するためにもウェビナーは効果的です。
その理由は、見込顧客が抱えている課題を解決する方法を提案して、自社製品や自社サービスの魅力を伝えれば興味を持ってもらいやすくなるためです。
Slopreneur社の独自調査では、ウェビナー参加者の約2%~5%が商品を購入していると述べています。
この調査結果から分かるように、ウェビナーは購買促進にも効果を発揮するのです。
参考:『Slopreneur | A SLEAZE FREE GUIDE TO SELLING ON WEBINARS』
ウェビナーマーケティングの手順
ウェビナーマーケティングの手順は以下の通りです。
- 参加者が求めている内容を考える
- ウェビナーの企画を決める
- ウェビナーの構成を考える
- ウェビナー開催に向けて準備をする
- ウェビナー開催後に参加者データを整理する
- アフターフォローをする
ここでは、各手順について具体的に解説していきます。
参加者が求めている内容を考える
まずは、ウェビナー参加者の立場を踏まえ「どのような知見を得たいのか?」「どのような体験をしたいのか?」を考えます。
一般的に、参加者が求めるのは「有用性」「独自性」「専門性」の3つです。
- 有用性:現場の実践に活かせるノウハウを得たい
- 専門性:特定分野に関する高い専門性を学びたい
- 独自性:企業独自のノウハウを知りたい
ターゲットとなる参加者が、ウェビナーに何を求めているかを考えることが一歩目です。
ウェビナーの企画を決める
次に、ターゲットとなる参加者像から逆算してウェビナーの企画を決めていきます。
企画を決める前に、営業部門やカスタマーサポート部門から意見を募ってみてください。
その理由は、見込顧客や既存顧客と接している部門から意見を受け取ることで、どのようなテーマのウェビナーを望んでいるか解像度を上げていくためです。
企画テーマは1つに絞り込んで、シンプルにすることで、短時間のウェビナーでも有益な情報を届けることができます。
ウェビナーの構成を考える
LogMein社の独自調査によると、ウェビナーの時間は60分が良いと述べられています。
そのため、60分と限られた時間で、参加者の興味・関心が集められる構成を考えましょう。
具体的に説明すると、ウェビナーの全体の段取りを決めてからトークスクリプトやスライドを作成していきます。
ウェビナーのメインテーマが一番大事だと思われがちですが、イントロダクションや質疑応答、クロージングも重要です。
サービスに関する具体的な話を持ち込んだり、キャンペーン情報を盛り込んだりすると、デモ体験や商品購買などに繋げられる確率が上がります。
参考:『LogMein |10 Webinar Benchmarks Every Marketer Should Know – GoToWebinar』
ウェビナー開催に向けて準備をする
ウェビナーの告知を行うためのLPや、受付を行うための登録フォームは速い段階で作成しましょう。
その理由は、LPや登録フォームの作成が遅延してしまうと、ウェビナー主催の予定が狂うためです。
LPには「開催日時」「講演者の詳細情報」「内容」「登録方法」に絞り込み、ウェビナーの概要が的確に伝わるようにしましょう。
また、登録フォームの入力項目が多いと参加率が下がる恐れがあるため「名前」「会社名」「役職名」「電話番号」「メールアドレス」と必要最低限の項目に絞り込みます。
LPと登録フォームが完成したら、Web広告やメルマガを活用してウェビナーを宣言して、参加者を募っていきます。
ウェビナー開催後に参加者データを整理する
ウェビナー主催が終えたら、参加者データを整理していきます。
回答してもらったアンケートを集計したり、動画視聴や資料ダウンロードのログ履歴を確認したりして、参加者の温度感を確認します。
アフターフォローを行いやすくするため、温度感の高い順番に参加者リストを並べ直しておきます。
アフターフォローをする
ウェビナー参加者に対するアフターフォローをしていきます。
その理由は、ウェビナーを主催するだけでは、売上や利益に繋がるわけではないためです。
ウェビナーの主催を購買促進に繋げていくためには、参加者のアフターフォローが欠かせません。
フォローメールを入れたり、電話をかけたりして参加者とコンタクトを取ります。
コンタクトを取る場合は、ウェビナー参加に対するお礼の言葉を添えましょう。
参考:『EventHub ウェビナーマーケティングを成功させるには?ノウハウや使えるツールをご紹介』
ウェビナーマーケティングを成功させる7つのコツ
ウェビナーマーケティングの手順をご紹介しましたが、成功させるためには7つのコツが必要になります。
2週間の集客期間を設ける
ウェビナーの集客期間は2週間に定めましょう。
その理由は、気軽に参加できるウェビナーは集客を早く始め過ぎてしまうと、出席率が落ちてしまうためです。
「とりあえず、ウェビナーの申込みをしておこう」と申込件数は増えますが、日が経過することで申込みに対する記憶が薄れていき出席率が落ちてしまうのです。
株式会社ベーシックの独自調査によると、ウェビナー集客を3週間前から開始したところ、出席率は62%から57.7%まで落ち込んだと述べられています。
最も出席率が高いのが、2週間前からウェビナー集客をした場合とされています。
そのため、ウェビナー集客期間は2週間で設定しましょう。
参考:『ferret One | 明日から使える!「ウェビナー」を成果に繋げる10のコツ』
配信画面に字幕を入れる
ウェビナー動画を録画撮影しておく場合は、字幕を入れておきましょう。
その理由は、配信動画に字幕を入れることで、聞き漏れを防げるためです。
また、字幕は目を引き、離脱を防げます。
字幕だけでなく、テロップやBGMを入れて演出すると、ウェビナー参加者が飽きずに最後まで見てもらいやすくなります。
配信画面に字幕やテロップ、BGMを入れるのは知識や経験が必要です。
しかし、ウェビナーのクオリティを上げるためにも検討をしてみてください。
動画制作に自信がない場合は、専門業者へ依頼するのも1つです。
関連記事: 『【無料】動画に使えるBGM素材サイト14選!TikTokやYouTubeに!』
商品を売り込み過ぎない
ウェビナー参加者の目的は、各自で異なります。
- 現在抱えている課題を解決する方法を知りたい
- スキルアップのために自己啓発をしたい
- 業界の人脈づくりをしたい
上記のように参加者の目的は異なり、これらを的確に汲み取れれば信頼関係が構築できます。
参加者と信頼関係を構築すれば、自然と相談をされたり、商品を購入されたりするでしょう。
参加者が求めていないのに商品を売り込むと、押し売りになり信頼関係が壊れてしまいます。
そのため、ウェビナーを主催する場合は商品を売り込み過ぎないように気をつけましょう。
リハーサルを入念に行う
ウェビナー主催前に入念なリハーサルを行ってください。
その理由は、当日にトラブルが起きると集客した見込顧客を逃してしまうためです。
従って、リハーサルを入念に行って、当日にトラブルが起きないようにしましょう。
具体的に説明すると、映像の切り替えのタイミングを間違えるだけでも、参加者に理解してもらえなくなります。
参加者に内容を理解してもらえるかを意識しながら、リハーサルを行ってみてください。
安定した配信環境を整える
ウェビナーを主催する前に、安定した配信環境を整えてください。
その理由は、通信環境の不備で画面が止まったり、ノイズが入ったりすると参加者が離脱してしまう恐れがあるためです。
そのため、ネットワーク回線の障害が起きることはないか、ウェビナーツールが安定的に使用できるかなど、配信環境を整えましょう。
PDCAで内容を改善していく
内容を改善していくことで、参加者に満足してもらえるウェビナーが主催できるようになります。
そのため、参加者にウェビナーの評価をしてもらいましょう。
アンケート結果を集計したり、視聴ログを把握したりして、どのような内容であれば満足してもらえるかを検証してください。
ウェビナー参加者のニーズを把握できれば、各段と良いウェビナーが主催できるようになります。
ウェビナーツールを活用する
ウェビナーツールを活用すれば、動画配信が簡単に行えるようになります。
さまざまなウェビナーツールが登場していますが、以下のような機能が搭載されたツールがおすすめです。
ウェビナーツールの機能
登録フォーム機能 | ウェビナー参加者の情報を取得するための機能 個人情報を取り扱うためセキュリティに気をつける |
配信機能 | 運営担当者に負担がかからないため機能 |
アンケート機能 | 参加者にウェビナーの評価をしてもらうための機能 |
視聴ログ分析 | ウェビナーの視聴結果を把握するための機能 アフターフォローをする際に役立つ |
多言語翻訳 | 講師のセリフをリアルタイムで多言語に翻訳する機能 国外のウェビナー参加者にアプローチできる |
MAツールと連携 | ウェビナー参加者へのプローチを効率化するための機能 |
参考:『EventHub ウェビナーマーケティングを成功させるには?ノウハウや使えるツールをご紹介』
参考:『ferret One ウェビナーを成果に繋げる10のコツ【準備編】』
参考:『colive ウェビナーマーケティングとは?成功に導くポイントも解説』
ウェビナーマーケティングの成功事例
最後にウェビナーマーケティングの成功事例をご紹介します。
セミナーコストを削減に成功
株式会社アルバイトアタイムスは、月5回程度セミナーを開催していました。
対面式のセミナーの場合、交通費や会場費が発生し、毎月約30万円程度の費用が掛かっていました。
同社は、セミナーからウェビナーに移行したところ、ツール費用の3万円だけで済むようになり、セミナーコストを1/10に削減できました。
参考:『Cocripo ご契約社数が1年間で3,000社増!驚異の成果をあげるウェビナーの秘訣とは』
集客数が2倍にアップ
グローバル電子計測器メーカーは、年1回開催するイベントを主催するために、ウェビナーツールを導入しました。
その結果、セミナー会場に訪れた参加者は1,500人、ウェビナー会場に訪れた参加者は2,000人、合計3,500人と通常の2倍以上の集客に成功したのです。
同社では、セミナー映像を録画して、やむを得ない理由で動画視聴できなかった見込顧客へ映像配信を提供しました。
このような取り組みにより、イベント開催日以降も集客数を増やしていくことに成功したのです。
参考:『ネクプロ 会場参加者約1,500人に対して、Webでは約2,000人と、合計で2倍以上の集客に成功』
参加者9割の満足度を獲得
株式会社オウケイウェイブでは、営業エリアを拡大するためにセミナーからウェビナーに切り替えました。
ウェビナーに切り替えたことで、参加しやすくなり、参加者が増えました。
また、質問できる場をセミナー上で設けるなど工夫をし、参加者の約9割が満足できるウェビナーの開催ができています。
参考:『Jstream 【事例公開】株式会社オウケイウェイヴ 様』
まとめ
今回は、ウェビナーマーケティングについてご紹介しました。
解説が長くなったため、最後にウェビナーマーケティングの手順や成功させるコツをおさらいしておきましょう。
ウェビナーマーケティングの手順
- 参加者が求めている内容を考える
- ウェビナーの企画を決める
- ウェビナーの構成を考える
- ウェビナー開催に向けて準備をする
- ウェビナー開催後に参加者データを整理する
- アフターフォローをする
ウェビナーマーケティングを成功させるコツ
- 2週間の集客期間を設ける
- 配信画面に字幕を入れる
- 商品を売り込み過ぎない
- リハーサルを入念に行う
- 安定した配信環境を整える
- PDCAで改善していく
- ウェビナーツールを活用していく
ぜひ、これを機会にウェビナーマーケティングに取り組んでみてください。
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監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。