本記事では、検索連動型広告の仕組みと運用方法についてご紹介します。
国内電通グループのデジタル広告領域を牽引する4社(CCI/ D2C/電通/電通デジタル)が発表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、
2021年の総広告費は、通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)となった。
(中略)インターネット広告費については、1996年からの実績について1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持し、2021年には2兆7,052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回った。
2020年より巣ごもり需要や外出の自粛、次世代通信規格「5G」が商用化されたことから、インターネット広告の閲覧数は今後も増える見込みです。
このように新型コロナウイルスの影響下で成長を続け、注目を集めるインターネット広告。
今回は運用型広告の中でも、クリック課金制で比較的始めやすい「検索連動型広告」の仕組みから運用のステップについて詳しくご紹介します。
参考:『日本経済新聞 ネット広告費、テレビ抜く スマホ普及で動画好調』
関連記事:『スマホ向けリスティング広告の特徴と成果を出す10の方法!』
Contents
検索連動型広告とは?
ではまず、「そもそも検索連動型広告とは何なのか」という点から解説します。
検索連動型広告はリスティング広告の一種
リスティング広告とは、Webページに表示されるテキストや画像を含む広告の総称です。別名「キーワード連動型広告」とも呼ばれています。
アイルランドの企業のアクセス解析サービス「StatCounter」によると2021年9月現在、これらの主要なプラットフォームはGoogleと、Yahoo! JAPANの2つで、国内シェア90%以上をカバーしています。
参考:『StatCounter Search Engine Market Share Japan』
また、リスティング広告には「検索連動型広告」「ディスプレイ広告」の2つの配信方法が存在します。
関連記事:『Googleリスティング広告で効果を上げるための10のポイント』
検索連動型広告の特徴
その中でも「検索連動型広告」は、ユーザーが検索した言葉に関連した広告を検索画面内に表示する広告の仕組みを指します。検索行動には「~が欲しい」「~はいくらだろう」といった消費者のニーズが込められています。
購入意欲のある能動的な消費者と接点を作り、直接訴求する広告を提示出来る事が検索連動型広告の最大の特徴です。
検索語句、キーワードについて
検索語句とキーワードの違い
検索連動型広告では消費者が検索に利用した言葉を「検索語句(別名検索キーワード、検索クエリ)」、広告主が登録する言葉を「キーワード」と呼びます。
キーワードは消費者がどんな検索語句で検索した際に広告を表示するか、フックとなりうる必要な単語を設定するのが基本的です。
例えば、ユーザー向けに釣り道具の広告を出す場合は、キーワードに「釣り」「初心者」「道具」「ルアー」等の関連性の高い文言を採用します。
関連記事:『リスティング広告のクリック率が向上するキーワード選定方法5選!』
検索連動型広告のシステム
ユーザーの検索語句と広告主のキーワードを検索エンジンのシステムが判断し、検索結果画面にテキストを表示します。
他の広告との違い
ディスプレイ広告との違い
どちらもユーザーのアクションを基に配信される広告ですが、ディスプレイ広告はGoogleや Yahoo!のサイトやパートナーサイトに画像や動画とテキストを組み合わせた形で表示される広告です。一方検索連動型広告はテキストのみの広告となっています。
また検索連動型の広告の掲載場所は検索結果のみですが、ディスプレイ広告は検索結果以外にも掲載することが可能です。
GoogleやYahoo! JAPANと提携しているサイトやYouTubeなど広告枠のある媒体に配信することが可能です。
あわせて検索連動型広告は、購入意欲が高く能動的に検索しているユーザーにアプローチすることが可能です。
一方ディスプレイ広告は幅広いユーザーに広告を閲覧してもらうことで潜在顧客にアプローチするという目的があります。
そのため商品やサービス会社の認知のために使用することが基本的です。
顕在している消費者にアプローチしたい場合は検索連動型広告、潜在的に顧客になりうるユーザーにアプローチしたい場合はディスプレイ広告を使用しましょう。
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説』
メリット・デメリット
検索連動型広告のメリット・デメリットは下記になります。
検索連動型広告のメリット
- 少額から配信可能
- 即効性とメンテナンス性の高さ
検索連動型広告のデメリット
- 運用に専門性の高い知識が必要
- 手間と時間を要する
検索連動型広告は少額でいつでも始めることができる点や、ディスプレイ広告と比較しても掲載用のバナーや動画を用意する必要がないため、即時的に運用可能な点が魅力です。
その一方で効果的な運用を行うためには専門的な知識やノウハウが欠かせません。
検索連動型広告の仕組み
GoogleとYahoo!JAPANのサービスの違い
同様のサービスを提供していますが GoogleとYahoo! JAPANではサービス名称が異なります。
検索連動型広告に関してはそれぞれ「Google検索広告」「Yahoo!スポンサードサーチ」と呼ばれます。
利用すると検索画面結果に加え各社の提供するサービスにも広告が掲載されます。
Yahoo!広告は基本的に Google広告と同じ仕組みで動いています。
しかしその一方で、広告品質の構成要素やキーワード広告のマッチングなど、独自の仕組みもYahoo!広告には盛り込まれています。
そのため Google広告でうまくいった手法がそのまま Yahoo!広告でうまくいくとは限りません。
より効果的に運用するにはGoogle、Yahoo!それぞれ広告の効果を見直す必要があります。
オークションとクリック単価
次に、検索連動型広告を語る上で欠かせない、オークションとクリック単価についてお伝えします。
オークションとは?
検索連動型広告はユーザーが検索した際に、各キーワードで広告のオークションが行われ、その中で掲載単価が高い広告から上位に掲載されます。
クリック課金制
検索連動型広告は原則的に広告がユーザーによって、1回クリックされるごとに費用が発生するクリック課金が一般的です。
アクセスを集めた分だけ広告費が発生するということが、テレビや雑誌などの広告とは異なる特長です。
そして一回のクリックごとに課金される金額をクリック単価 CPC(Cost Per Click)と呼びます。
関連記事:『リスティング広告のクリック単価改善方法【CPCの相場についても紹介】』
資金力のある会社一強にならない理由
広告出稿の際、このキーワードで広告を出すために「CPC(クリック単価)は最高この金額まで払うことができます。」という形で入札を行います。これを上限 CPC と呼びます。
オークションによる広告の掲載順位は「上限 CPC」と「広告の品質」「広告表示オプション」などから算出される「広告ランク」という値の大きさで決定します。
広告ランクは、広告の品質や検索に至った背景等を加味して算出された値で、検索ユーザーの役に立つと判断された広告が上位掲載されます。
仮に資金が潤沢で、上限クリック単価に際限なく金額を投資できる会社がいたとしても、「広告の品質」によって検索語句に適した広告が掲載される公平性や検索サービスの信頼性が担保されているため、広告枠の独占は回避されています。
効果的な利用方法
検索連動型広告は見込み顧客の獲得、Webサイトへの訪問数の増加、オンラインショップや実店舗での売上向上と言った促進させたい目標や能動的なユーザーにアプローチしたい方にオススメの広告手法です。
それでは実際に検索連動型広告をゼロから配信するためのステップを紹介します。
運用開始までの12ステップ
用意するべき3点セット
検索型広告を始める3点セットとは、どんな言葉で検索された時に広告を表示したいかを指定するための「キーワード」ユーザーに表示するための「広告」そしてランディングページと呼ばれる広告をクリックした際に誘導するリンク先の「URL」 の3つです。
事前にGoogle広告や Yahoo!広告のサイトで申し込みを行い、利用者登録情報であるアカウントを作成しましょう。
広告の文章は「見出し」と「説明文」
先ほど触れたとおり、広告の文章は「広告見出し」「説明文」の2つで構成されています。
見出しのポイント
広告の最初のコピーで最も目立つ文章です。Google、Yahoo!共に半角30文字までの制限があります。ユーザーが知りたいことや求めていることを簡潔に書きましょう。
説明文のポイント
製品やサービスの品質や価格得点などを短い文章でシンプルにまとめましょう。何をメリットに感じるかはユーザーの検索したキーワードによって異なります。
訴求ポイントに合わせて複数のパターンを用意することをオススメします。
必要な情報はGoogle広告ポリシーやYahoo!広告掲載ガイドラインに記載されています。広告文を作る前に目を通しておきましょう。
関連記事:『CTRを高める施策!レスポンシブ検索広告を使用するメリット2選』
アカウントと構造
便利な広告グループ
仮にキーワードを1000個用意した場合、広告に必要な3点セットも1000個作る必要があります。
このような手順を省くために類似のキーワードやリンク先をまとめる機能が「広告グループ」です。
そこで、ニーズが似ているキーワードを広告グループにまとめることで効率よく3点セットを製作できるようになります。
グループをまとめるキャンペーン
広告グループはその上の「キャンペーン」でさらにまとめることができます。共通の言語や地域予算にしたい広告グループはキャンペーンという単位でまとめて設定します。
最上位のアカウント
アカウントは三層構造になっており、広告グループ、キャンペーン、アカウントとなっています。
アカウントは広告を管理する階層の最上位に位置する最大の単位です。管理者の情報や支払いに関する情報を設定できます。
マッチタイプの指定
広告主が想定可能なすべての検索語句に対応できるよう、考えうる全てのキーワードを追加するのは現実的ではありません。
そのためキーワードのマッチタイプを指定し入力したひとつのキーワードで幅広い検索語句にマッチできるよう調整します。
マッチタイプには「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の3種類があります。特に指定がない限り部分一致に設定されます。
部分一致では類義語が検索語句とのマッチング対象になるため、検索結果に広告が表示される可能性が広がります。
その一方で意図しない検索語句にも表示されてしまう可能性がありますので、広告が表示される検索語句をコントロールしたい場合はその他のマッチタイプを利用しましょう。
関連記事:『リスティング広告のマッチタイプ4種類を解説【正しい効果測定も紹介】』
表現はガイドラインに従う
GoogleやYahoo! 広告に共通する注意すべきポイントがあります。
- 最大限表記はなるべく避けましょう。 最高や最大といった文章を利用する場合は第三者による客観的な調査の根拠を記載してください。
- !や? といった感嘆符 の過度な使用は控えてください。その他にも無意味な空白を文章に入れることは NG とされています。
- リンク先の内容にかかわらず今すぐクリックと言ったようにクリックを誘導するためだけの表現を使用しないでください。
- アルファベットの大文字は連発せず適切に利用してください。
- 同じ意味の文章やフレーズの繰り返しを避けて、様々なフレーズを使用しましょう。
広告に使用できる文字数は限られているため、商品やサービスの優位性やユーザーが得られる体験を訴求できる工夫をすることが重要です。
参考:『Google広告のポリシー』
参考:『Yahoo!広告 掲載ガイドライン』
関連記事:『リスティング広告の審査対策5選【Google広告・Yahoo!広告】』
広告文を作るヒント
競合分析①規模
消費者はサービスを比較し、最も問題解決に近いと思われるサービスや会社を選択します。
そのため自社や競合がどのような取り組みを行っているのか分析することが重要です。まず企業の規模を確認しましょう。
資本金から従業員、大手、中堅、ベンチャーなどに分類します。
自社の規模が競合よりも小さい場合は、大企業に対して安心を上回るメリットを提示しなければ、消費者は別の会社を選ぶでしょう。
関連記事:『リスティング広告運用で競合名は使用OK?防止すべきトラブル3選』
競合分析②形態
競合の商品やサービスの形態を確認します。
サイトの商品やサービスを説明しているページを確認するだけでも企業の特色が表れています。
自社との差異や差別化可能なポイントを見極めましょう。
競合分析③訴求点
競合が商品やサービスを売るために行っている訴求方法を確認します。
大まかに商品の「質」「価格」「コミュニケーション」のうちどれを重視しているかを考えながら整理していきます。
例えば高機能や品質を強く訴求している場合は質重視。サポートやアフターケアの充実を強調していればコミュニケーション重視に分類できます。
競合分析④広告情報
広告やキャンペーンの打ち出し方を調査します。
まず商材や悩みに使われていそうな単語をいくつか検索し、検索結果画面に該当する競合の広告が表示されたら広告をキャプチャして保存しましょう。
これらの広告を確認すると、強調したい訴求点を理解できる可能性が高まります。
競合分析⑤SNS
発信している情報はお客様向けに発信しているため、競合がどのようなお客さんを呼び込みたいか狙いを掴むことができます。
コーポレートサイトのニュースページを確認すると、直近でどのような動きをしているかも確認することが可能です。
関連記事:『【企業向け】Twitterのフォロワー数を増やすためのポイント9選』
ランディングページの設定
検索結果や広告をユーザーがクリックした際に最初に表示される「ランディングページ」の設定をしておきましょう。
ランディングページを徹底的に改善し成果を高める取り組みをLPO(Landing Page Optimization)と呼びます。
広告の3点セットであるURLに関しては各広告の設定画面でどのページに飛ぶか設定可能です。また専用のランディングページを作ればそのサービス専用の商品紹介を行うことができます。
関連記事:『LPO(ランディングページ最適化)とは?基礎知識と改善ポイント5選!』
予算と目標値の設定
可能な場合は、検索連動型広告費の1ヶ月の上限を決めましょう。キーワードごとにある程度の入札金額が存在します。
Googleキーワードプランナーを利用し、想定しているキーワードで予算がどれくらい必要になるかを事前に算出しましょう。
広告費を決める際はまずいつまでにいくら売上を増やしたいのかを検討します。そして一件のコンバージョンで得られる売上はいくらなのか確認します。
次に月内もしくは年内の目標売上額の達成には何件のコンバージョンが必要なのかを逆算します。
最後に必要なコンバージョンを得るために広告費はいくらまで使用可能か把握しましょう。
このようにコンバージョン一件時の収益をいくらか算出すれば目標達成するために必要なコンバージョン数を導き出すことができます。
貴社のビジネスに必要なキーワードと、用意可能な予算のバランスを考えて無理のない金額を設定することが重要です。
関連記事:『Google広告の予算設定方法を紹介!3点に注意して費用対効果を高める』
コンバージョンの設定
広告で目的とする成果をコンバージョンと呼びます。
サイトに訪れたユーザーが会員登録や商品購入など、あらかじめ定めた成果が上がった場合に表示され、広告がどれだけユーザーをゴールに導いたか測定できます。
主に商品購入、サービスの申し込み、新規会員やメールマガジンの登録、資料請求、実店舗への来店、アプリのダウンロードなどが挙げられます。
なお、コンバージョンタグの設定関しては、タグマネージャーを使用すると設定が楽です。下記記事より参照いただけます。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
マニュアル型
ここまでで順を追って説明してきた広告運用の方法はマニュアル型と呼ばれています。
文字通り広告を担当する運用者がキーワードの選定、広告の作成、入札、レポートの作成を全て自身で行う手法です。
担当者のこだわりが全て反映できるのがメリットですが、その反面作業の工数と作業時間は増えていきます。
オートマ型
マニュアル型に対してオートマ型の広告運用では、入札やレポーティングといった日々の作業を機械が自動的に処理してくれます。
広告の掲載に最低限必要な「アセット」と呼ばれる広告、商品情報、Web サイトなどのプロダクトに関わる資産の用意や、レポートの雛形の設計は人間の手が必要ですが、機械が自動で処理できる作業にかかっていた時間の部分だけ別の作業に時間を費やすことができることが特徴です。
パフォーマンスの確認
検索連動型広告は運用型広告の一種です。そのため配信してからどれだけ表示され売上につながったのか確認することが最初の手順といえます。
広告の全てをデータで確認できる検索型連動広告は、運用の成果から改善点を見つけ広告の内容やキーワードを変更及び調整しながら、目的の売り上げの金額までコンバージョン数を伸ばしていくことが広告配信とセットの業務です。
そのためアカウントを確認するタイミングを事前に決めておき、定期的に確認することが重要です。「広告が表示されているか」「審査落ちが発生していないか」「お金を使い過ぎていないか」等確認する事項は様々です。
まとめ
低価格の出稿と、広告効果の検証で注目を集める検索連動型広告。
社会で検索エンジンによる検索回数の増加に従い、インターネット検索の結果画面の一部にリスト表示されるリスティング広告の利用は大幅に増加しています。
この記事を読んで、検索連動型広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬事法管理者が在籍しておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能。
お客様のあらゆるニーズに対し 分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。