市場に多く出回るサービスの中から、自社商品を選んでもらうためにはマーケティングが欠かせません。
どのようなマーケティング手法を取るべきか悩んだら、マーケティング論を提唱している経済学者のフィリップ・コトラーのマーケティング概念を参考にしましょう。
今回は、コトラーが提唱するSNS時代のマーケティング概念「マーケティング4.0」の鍵を握る5A理論について詳しく解説します。
この記事を読めば、時代の変化に応じたマーケティング手法が選べるようになるはずです。
ぜひ、記事を参考にしてみてください。
Contents
【はじめに】5A理を提唱したコトラーとは
出典元:『getty images』
フィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、アメリカ合衆国の経済学者です。
マーケティング論の提唱をしており、現代マーケティングの第一人者として知られています。
時代の流れと共に移り変わるマーケティングの概念を分かりやすく解説しているため、近代マーケティングの神様とも呼ばれています。
参考:『NEC フィリップ・コトラーが語る「マーケティングは企業の成長エンジン!」』
コトラーに関連する書籍
現代マーケティングの第一人者コトラーのマーケティング論について知りたい方は、日本語に翻訳された以下の書籍を読むと理解度が深まるでしょう。
コトラーに関連する書籍
- コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント基本編(2014)
- コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則(2017年)
- コトラーのH2Hマーケティング「人間中心マーケティング」の理論と実践(2021年)
- コトラーのマーケティング入門[原書14版](2022)他多数
コトラーが提唱するマーケティングの4段階
コトラーは、時代の流れと共に移り変わるマーケティングの概念を分かりやすく解説してきました。
どのようにマーケティングの概念は変化してきたのでしょうか?
ここでは、コトラーが提唱するマーケティングの4段階について解説します。
マーケティング1.0:製品を大量につくる
出典元:『getty images』
1900年~1960年代に誕生した概念「マーケティング1.0」は、製品中心のマーケティング手法です。
1865年から1900年に起きた第2次産業革命により、米国やフランス、ドイツでは技術革新により工業力が大きくなりました。
その結果、製品の大量生産・大量消費の時代を迎えることになったのです。
売り込みにはマスメディア広告が使われており、マーケティングの目的は「コストを抑えて製品を作り、多くの人に販売すること」でした。
機能に優れた製品を製造すれば、売れていたため、マーケティングコンセプトは「製品管理」となっていたのです。
参考:『ビジネスのためのWeb活動術 コトラーのマーケティングを理解する!1.0から4.0までの歴史
マーケティング2.0:顧客満足度を重視する製品づくり
1970年~1980年代に誕生した概念「マーケティング2.0」は、消費者志向を意識したマーケティング手法です。
製品の大量生産がされて需要が供給を上回るようになり、市場で価格競争の激化が起きました。
市場に類似製品が出回るようになり、価格面での差別化が難しくなり、製品を大量に売る概念「マーケティング1.0」が通用しなくなったのです。
このような背景により、製品の価格を安く抑えるのではなく、消費者を満足させる製品づくりを重視したマーケティングを行う必要が出てきました。
参考:『Musubu コトラーのマーケティング2.0│フレームワーク「STP分析」も解説』
関連記事:『マーケティングの4P4Cとは?4つの活用方法をわかりやすく解説!』
マーケティング3.0消費者から共感を集める時代の到来
1990年~2000年代に誕生した概念「マーケティング3.0」は、価値志向を意識したマーケティング手法です。
製造業はCO2を大量に排出しており、地球温暖化や気象異常などの社会問題が出てくるようになりました。
また、貧困などの格差問題が出てきて、個人の価値観が多様化しました。
このような時代で商品を売り込むためには、裏側にあるストーリーを紹介するなど消費者から共感を得ることが重要となったのです。
製造ストーリーなど製品に込められた想いに共感してもらい、インターネット上で拡散され商品を購入してもらうというプロセスに移行しました。
参考:『LISKUL 5分で分かる「マーケティング3.0」と成功事例』
マーケティング4.0:消費者をファン化する時代の到来
2010年代に誕生した概念「マーケティング4.0」は、消費者自身を満たすことを意識したマーケティング手法です。
社会的価値だけでなく、自己実現のような精神的価値を満たす商品が求められる時代となりました。
2010年代からは、SNSやBLOGが普及して消費者が情報発信する環境が整いました。
多くの消費者が購入した商品を評価して情報として発信しています。
そのため、マーケティング活動は商品購入をゴールとするのではなく、消費者の商品購入後の行動まで考える必要が出てきました。
参考:『マケフリ:マーケティング1.0から4.0までの変遷を解説|時代とともに変化したマーケティングの流れを知ろう』
コトラーが提唱する5A理論とは
SNS時代は、消費者が商品を購入した後の行動まで考えなければいけなくなりました。
マーケターは、消費者が商品を認知して購入、推奨するまでの購買プロセス「5A理論」を意識しなければいけません。
5A理論とは何なのでしょうか?次に、コトラーが提唱する5A理論について解説します。
認知(AWARE)
認知(AWARE)とは、家族や友人から商品の評判を聞いたり、広告を見たりして存在を知っている状態をいいます。
具体的に説明すると、下記のような状態をいいます。
認知の状態
- 商品のパッケージやロゴを見たことがあるような気がする
- 店頭で商品を見たときに「この商品を広告で見かけたことがある」と思える状態
- 商品の特徴について知っている状態
認知はストックされるものであり、長期的に効果が出てきます。
そのため、多くの人に自社商品を認知してもらう必要があります。
訴求(APPEAL)
訴求(APPEAL)とは、消費者は家族や友人から商品の評判を聞いたり、広告を見たりして得た情報を整理している状態をいいます。
情報を整理していき「必要な物か?」「欲しいと思うものか?」を考えていきます。
商品の基本情報や競合商品について簡単に調べている状態です。
そのため、企業は消費者に興味・関心を持ってもらうために商品をアピールしていかなければいけません。
調査(ASK)
調査(ASK)とは、魅力を感じた商品に対して調査している状態をいいます。
商品に関する調査方法には、以下のようなものがあります。
調査方法
- 商品を購入した友人にアドバイスを求める
- インターネット検索をして商品のレビューを確認する
- 商品に関する情報を得るためにコールセンターに電話をかける
調査の段階では、気になる商品の比較・検討が行われます。
行動(ACT)
行動とは、商品情報を見て興味・関心が高まり購買する状態をいいます。
店舗に出向き商品を購入することもあれば、オンラインショッピング経由で商品を購入することもあるでしょう。
また、商品を購入した後の利用する行為も「行動」に該当します。
そのため、消費者に満足してもらえるようにアフターサービスを提供して、顧客維持率や再購入率などを高めていかなければいけません。
推奨(ADVOVATE)
推奨は(ADVOVATE)とは、消費者が商品に対するロイヤリティを感じている状態をいいます。
商品を購入して使用して感動しファンになった消費者は、自発的に商品を他社に推奨していきます。
現代ではSNSやBLOGを活用して、誰もが情報発信できるようになりました。
商品のファンになった消費者は、ツールを活用して積極的に推奨してくれるようになります。
参考:『5A Loyalty Suite マーケティング4.0 認知 訴求 調査 行動 推奨、5Aの構成要素を理解しよう!』
コトラーが提唱する5A理論のポイント
最後に、コトラーが提唱する5A理論のポイントを押さえておきましょう。
オンラインとオフラインを一体化させる
2010年代に誕生した概念「マーケティング4.0」では、消費者が商品を認知して購入、推奨するまでの購買プロセス「5A理論」を意識しなければいけないと説明しました。
しかし、コトラーのマーケティング4.0では、以下の内容が述べられています。
「マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチである」(出典:『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』)
SNS時代と呼ばれるオンライン化が加速する時代において、オフラインの触れあいは強力な差別化要因となります。
そのため、マーケティング担当者はオンラインとオフラインを一体化させたマーケティング手法を考えていく必要があります。
関連記事:『Googleマップで集客、ローカルキャンペーン!4ステップで簡単配信』
顧客からの奨励が究極の目標である
マーケティング4.0では、商品購入が最終目標ではなく、顧客からの奨励が究極の目標だと述べられています。
その理由は、消費者がSNSを活用して商品の魅力を発信してくれれば、多くの人に認知してもらえて購入してもらえるためです。
そのため、顧客から奨励してもらえるように、認知から奨励までの購買プロセスで適切な対応をしていかなければいけないのです。
関連記事:『Web広告の戦略を考えるときに使えるオススメのフレームワーク4選』
顧客との繋がりが重要である
SNS時代では、消費者との繋がりが重要となります。
企業や専門家が一方的にコミュニケーションをとる「縦の関係性」より、信頼関係ができている相手とコミュニケーションをとる「横の関係性」が重要視されるようになってきているのです。
企業は消費者を「ターゲット顧客」とみなすのではなく「仲間」とみなし、コミュニケーションを取っていかなければいけません。
企業理念や商品の製造ストーリーを示して、共感や信頼を集めていき購買に繋げていく活動が求められ始めています。
まとめ
今回は米国の経済学者フィリップ・コトラーが提唱したマーケテフィング4.0の成功を握る「5A理論」について説明しました。
5A理論を理解して、購買プロセスに応じた適切なアプローチをしていけば、多くの顧客が自社商品・サービスを選んでくれるようになります。
時代の変化に応じて、マーケティング手法は変えていかなければいけません。
そのため、マーケティング第一人者と呼ばれるフィリップ・コトラーが提唱する概念についてはチェックをしておきましょう。
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監修者
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