近年動画を使ったマーケティングが盛り上がりを見せています。
サイバーエージェントの調査結果*1によれば動画広告市場は2020年から右肩上がりで成長しており、具体的には2021年の動画広告市場は4,195億円(昨年対比142%成長)、2025年には1兆465億円に達する予測がされました。
この調査結果を見ても分かる通り、動画は今後も活躍の機会が増えると考えられます。
しかしビジネスでブランドの認知度向上の施策として動画を使っていると多少もどかしさを感じるときもあります。
一般的に動画は一方向から一方的に情報を伝える形式であり、さまざまな情報を固定の順番で表示します。
たとえば動画の構成を「サービスAの紹介→サービスAのメリット→サービスBの紹介→サービスBのメリット」という順番で作ったら必ずサービスBよりも先にサービスAの紹介がされます。
もしも「サービスAの紹介」と「サービスBの紹介」をユーザーの興味に合わせて順番を変更出来たらユーザーの注目をより高めることが出来ると思いませんか?
これを可能にするのがインタラクティブ動画です。
インタラクティブ動画はユーザーが動画内でアクションを起こすことができ、そのアクションに合わせて動画の展開を変えることが出来ます。
この記事ではインタラクティブ動画の特徴とマーケティングで活用するメリットを紹介します。
関連記事:『VYOND(ビヨンド)でビジネスアニメ動画を未経験者が2時間で作成する方法』
Contents
インタラクティブ動画の概要
引用:『Uniteo』
インタラクティブ動画とは
インタラクティブ動画とは、「視る」だけではなく「触れる」仕掛けがある双方向的な動画のことです。
一般的な動画でユーザーが操作できる内容としては「一時停止」、「巻き戻し」、「早送り」、「再開」くらいです。
しかし、インタラクティブ動画であればこれらに加えて、「クリック」や「ドラッグ」、「スクロール」などのアクションができ、これらのアクションによって動画の次の展開が変えられます。
例えばYouTubeも投稿動画にリンクカードを動画内に貼ったり、動画の最後に関連動画を表示させて別の動画に遷移させることが出来るのでインタラクティブ動画と言えます 。
インタラクティブ動画は視聴者データ分析ができることも特徴の1つであり、YouTubeでもYouTubeアナリティクスを通して動画を見たユーザーの年齢や性別、視聴維持率など様々なデータを取得・分析できます。
また、YouTube以上にインタラクティブ機能を持たせることも可能であり、入力フォーム、ストーリー分岐、購入ボタン、クイズ・質問、チャプタなどの幅広い要素を設置することができます。
最近ではプロモーションからEC、リード獲得、営業ツール、研修・学習コンテンツまで、幅広い分野での活用事例が増えています。
アメリカの調査レポート*2によると動画マーケティング担当者の17%が2022年の動画マーケティング戦略にインタラクティブ動画を含める計画をしているといった調査結果もあります。
インタラクティブ動画は通常の動画の2倍のエンゲージメントになるという調査*3もあり、インタラクティブ動画はアメリカで大きく注目されています。
インタラクティブ動画の作り方
インタラクティブ動画を制作する方法は大きく分けて以下の3パターンがあります。
- オーサリングツールを利用する
- 制作会社に制作を依頼する
- 自分で作る
オーサリングツールを利用する
引用元:『weblio辞書』
オーサリングソフトとは、デジタルコンテンツやマルチメディアデータなどを制作するために用いられるソフトウェアの総称です。
オーサリングツールの代表的なものとしてAdobe製品が挙げられます。インタラクティブ動画を制作できるオーサリングツールもあり、代表的なものとしては海外ツールであれば「WIREMAX」(https://www.wirewax.com/)、国内ツールであれば「MIL」(https://mil.movie/)などが挙げられます。
オーサリングツールを使うメリットとしては、特別な知識がなくても簡単にインタラクティブ動画が作れることが挙げられます。
逆にデメリットとしては自分で作る場合に比べると製作費が高額になりやすいことです。例えばWIREMAXを使用する場合、一番安いプランで月額$1,999(2022年3月末時点のレート換算で245,434円)が発生します。
引用:『Google Web Designerホームページ』
他製品に比べると使いやすさは劣りますが無料で使えるツールとして「Google Web Designer」が挙げられます。
ある程度操作の習熟に時間が掛かるかもしれませんが費用を抑えてトライアルで制作してみたい場合にオススメです。
Uniteoで使用しているインタラクティブ動画も「Google Web Designer」で制作しました。
関連記事:『Google Web DesignerでHTML5アニメーションバナーを作る4つのステップ』
リンクカードや関連動画の設置など簡易的なインタラクティブ機能のみ使う場合はYouTubeの利用が良いかもしれません。
YouTubeであれば無料で利用でき、これらの機能を付与できるだけではなく認知拡大にも役立てることが出来るのでオススメです。
関連記事:『YouTubeアナリティクスで動画を分析するときに注目したい5つの指標』
制作会社に制作を依頼する
インタラクティブ動画の制作会社に頼むことも一つの手です。
制作会社に頼むメリットとしては企画やディレクションも請け負ってもらえることが多く、専門家の意見を踏まえたハイクオリティな動画を作りやすくなることが挙げられます。
逆に、有名な会社であっても担当者ごとにレベルが違うことも考えられ、場合によっては、納品の遅延や期待していた水準に達しない等の問題が発生する場合もあるかもしれません。
安くない買い物ですので、複数の会社からお話を聞いて信頼できる会社に依頼することをオススメします。
関連記事:『動画活用の成功事例5選!動画の種類別に制作方法をご紹介』
自分で作る
自分で制作する場合、現在はHTML5での制作が主流です。
古くはWebブラウザ上でアニメーションを扱うための規格および表示ツールの1つであるFlashが利用されていました。
しかし、Flashはページの読み込みに時間がかかることや、再生の際にプラグインが必要などの問題点がありました。
さらに、セキュリティの脆弱性により、AppleがFlashをサポートしないことを決定し、FlashはiPhoneに対応しなくなりました。
Flashが抱えていた多くの問題点を解決できるHTML5が台頭した経緯があります。
自作をする場合のメリットとしては、自分の思い通りにきめ細かい仕様で制作が出来ることや外注費が発生しないこと、修正対応も素早く実施できることが挙げられます。
デメリットとしては専門的なスキルや知識が必要になることや社内で制作人件費が発生することです。
インタラクティブ動画で出来ること
インタラクティブ動画に組み込むことができる機能は複数ありますが、一般的に使用される機能は以下のとおりです。
ホットスポット
ホットスポット機能は、ビデオ、画像、注釈などのビジュアルオブジェクトに適用する機能です。
この機能を付与すると、オブジェクトがクリック可能になり、それぞれに関連付けられた操作を実行できます。
ポップアップ
動画内の物やボタンにあらかじめタップできるスポットを設置し、動画では表しきれない補足情報や画像などをポップアップで表示する機能です。
サイトリンク
動画内に出てくる商品やサービスにボタンを設置することによってユーザーがワンタップで購入ページや、細情報のリンクにとべる機能です。
360ビュー
ユーザーがビデオフレーム内で画面をドラッグして様々な角度から動画を見ることが出来る機能です。
ストーリー分岐
ユーザーの選択によって動画の次の展開を分岐させることが出来る機能です。
クイズ
ボタンと分岐を組み合わせて評価をし、ビデオの最後にパーソナライズされた結果を表示出来ます。
インタラクティブ動画を制作するときは色々な機能があるので色々盛り込みたくなるものですが、不要な機能を極力省きコンテンツを長くしすぎないことも大切です。
コンテンツの構成を考えるときには、ストーリーの流れを大切にしてストーリー分岐してもトピックから脱線しないように気を付ける必要があります。伝えたいメッセージを予め見極めておくと良いでしょう。
また、モバイルユーザーも多く居るので。コンテンツをデザインするときはモバイルデバイスでどのように表示されるかを想定する必要があります。
以上を留意することで、より効果が出るインタラクティブ動画を制作できるでしょう。
インタラクティブ動画をマーケティングで活用するメリット
データを分析できる
Webマーケティングをするうえで欠かす事が出来ないデータのトラッキングと分析。
一般的な動画では平均視聴時間など限られたデータしか計測できませんが、インタラクティブ動画はHTML5等で構成されるのでより詳細なデータを記録・分析できます。
たとえばGoogleアナリティクスでお馴染みの情報に加え、設定次第で下記も追跡できます。
- ユーザーの年齢
- 性別
- 住んでいる地域
- 動画内のホットスポット別のクリック数
- 分岐で最も多く見られているフロー
- 動画から申込みページに遷移したあとのコンバージョン数
関連記事:『Googleデータポータルでアナリティクスレポートを作る3つのメリット』
成果につながりやすい
Spiel Creativeの調査*4によればインタラクティブ動画の活用によって以下の成果が報告されています。
マーケター目線
- 87.7%の人がインタラクティブ動画を使用してオンライン営業がグロースした
- 78%の人が通常の動画と比べてインタラクティブ動画の方が良い成果が出た
- 68%の人がインタラクティブ動画によって不要なカスタマーコールが減少した
ユーザー目線
- 75%の人が営業の話よりもインタラクティブ動画の方が商品の説明が分かりやすかった
- 83%の人がインタラクティブ動画を見た後で製品についてより好意的になった
- 87%の人がインタラクティブ動画は教育の利用に好ましいと思っている
この結果から分かる通り、インタラクティブ動画は一般的な動画と比べてエンゲージメントが高まりやすいことが伺えます。
また一般的な動画では、「詳しくはこちらのサイト」などと遷移を促したり、Webページ内に埋め込んだ動画の近くに設置したボタンへと誘導することしかできません。
しかし、インタラクティブ動画であれば、動画の中にボタンやフォームなどを設置し、そのままコンバージョンポイントへと誘導することができます。
その結果、エンゲージメントだけではなくコンバージョン率を高めることにも役立ちます。
関連記事:『インフィード動画広告でYouTubeチャンネル登録者数を増やす際の4つの注意点』
理解の促進に役立ち記憶に残りやすい
一般的な動画は映像が流れているのを受け身的に視聴する形式です。
動画は文字や画像だけよりも記憶に残りやすいという特性があります。
人々が日々多くの動画に接触するようになり、多くの企業もマーケティング目的の動画や採用目的の動画を作るようになってきています。
そのため、視聴者にとってはひとつひとつの動画の内容やその企業やサービスのことを覚えておくことが以前よりも難しくなっていると言えます。 *5
インタラクティブ動画の場合は自分の選択によって話の展開が変わるので、その行動とともに動画の内容や企業・サービスのことをより記憶に留めやすくなります。
この結果として、理解が促進され記憶の定着率が向上することが考えられます。
動画内でアンケートを取れるので顧客調査や社員教育に最適
インタラクティブ動画は動画内でアンケートやクイズを出題して、ユーザーごとに結果をまとめることも可能です。
この機能を活用して動画視聴後に顧客の感想を集めたり、社員教育用の動画を作成して理解度チェックテストをするなどの活用が考えられます。
関連記事:『アンケートLPの活用方法とは?設問の作り方と3つのメリットを紹介』
ストーリー性やエンターテイメント性を持たせやすくユーザーを飽きさせない
インタラクション性を備えることでよりエンターテイメントの要素が加わる点も、インタラクティブ動画の大きなメリットです。
ストーリーの分岐やクイズなどの機能をうまく活用することによってゲーミフィケーション要素を持つコンテンツが完成し、より視聴者を動画の中に引き込むことができます。
新卒採用活動やエンターテイメント性の高いサービスのプロモーション時にターゲット視聴者に大きな印象を残すことが出来るでしょう。
関連記事:『動画活用の成功事例5選!動画の種類別に制作方法をご紹介』
まとめ
ここまでご紹介させて頂いた通りインタラクティブ動画を利用することで様々なメリットを得られます。
しかし、インタラクティブ動画は広告に対応していないというデメリットもあります。投資対効果を考えたときにインタラクティブ動画よりも広告を利用する場合も考えられます。
動画広告を検討される場合はお気軽にUnion にご相談ください。成果の出るマーケティング施策をご提案します。
監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。