中小企業のビジネスに特化した広告最適化ツールを提供する米国ネット広告代理店Wordstream社が2018年に公表したデータでは、Google広告のリスティング広告の平均クリック率は業界全体で3.17%となっています。
その業界や掲載時期、掲載位置など、クリック率は様々な要素で変動しますが、ディスプレイ広告の平均クリック率は0.46%と比較すると高いことがわかります。
参考:『【リスティング広告】クリック率の平均はどれくらい?改善方法もご紹介』
別のコンテンツ検索中にも表示されるディスプレイ広告と比較し、検索をかけた時に適切な広告が表示される仕組みのリスティング広告は能動的に検索しているユーザーに対して高い訴求効果があります。
※もちろん、ディスプレイ広告にもメリットはあります。
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説』
またリスティング広告は検索して一目で目につくところに広告を表示でき、今日までインターネットでビジネスを行っている多くの企業に利用されています。
今回はビジネスに必要不可欠な「Googleリスティング広告」の効果を上げるポイントについて詳しくご紹介します。
関連記事:『リスティング広告とFacebook広告の違いとは?特徴とポイント3選!』
Contents
リスティング広告について
リスティング広告の特徴
検索プラットフォームを使用した検索結果に表示されるクリック課金型の広告をリスティング広告と呼びます。
SEO(Search Engine Optimization)のようなサイト内部施策と異なり短期間で多くの消費者と接点を持てる点がリスティング広告の一番の特徴です。
リスティング広告を使えば検索結果の上部という比較的ユーザーの目にとまりやすい場所に広告を出すことができます。
検索したユーザーの求めるものに関してマッチした広告文や商品サービスを提示することができれば、商品が売れる確率は高くなります。
例えば、一時的なセールといった短期的なイベントの集客には即効性とメンテナンス性が高いリスティング広告が非常に向いています。そのためSEOと組み合わせることで集客数の最大化やビジネスの加速を実現することができます。
Googleリスティング広告は広告文や予算を設定した後、審査で許可が下りたのちに掲載を開始できます。
関連記事:『Google広告の予算設定方法を紹介!3点に注意して費用対効果を高める』
クリック課金制
リスティング広告はユーザーによってクリックされた時に初めて広告料金が発生するクリック課金PPC(Pay Per Click)という仕組みを採用しています。
そのため低予算で開始できることや配信の見直し、停止の決定などをスピーディーに対応できるメリットがあります。
関連記事:『Web広告【PPC広告とは?】 代表3種類や費用の仕組みを解説!』
またリスティング広告はリアルタイムでインプレッション数やクリック数を把握できます。
広告がクリックされた回数を広告が表示された回数で割った、クリック率を割り出す CTR(Cost Through Ratio)や、一件のクリックに対して発生する広告主が支払う料金を表示する表示するCPC(Cost Per Click) など、広告効果を判定するための計算式に基づき1回のコンバージョンを獲得するための情報を測定します。
またこの時誘導するLP(Landing Page)にコンバージョンタグを設定しGoogleアナリティクスと連動させて流入してきたユーザーの行動を計測しましょう。
一定期間で区切って数値を比較し、使用している広告セットやキャンペーンごとに分割して分析することで、効果の上がっている広告に共通する条件を見つけることができます。
コンバージョンタグ設定にあたっては、タグマネージャーの使用が効果的です。下記記事から設定方法は参照いただけます。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
効果を上げる7つのポイント【配信前】
サービスの理解
リスティング広告との親和性
ビジネスにおいて取り扱う商品やサービスの特徴でリスティング広告の効果が大きく変わる可能性があります。
例えば検索回数が多く、利益率が高い商材やサービスやネット上で予約や申し込み購入が可能になるサービスは、リスティング広告との相性がいいといえます。
特に脱毛商品やカツラ、育毛関係といった商品は人に相談する事が難しいため、一人で検索し購入まで決断する場合が多いです。
このような人々の悩みに直結しているサービスは行動的に検索をかけているユーザーと親和性があります。
その一方で既に競合の数が多くレッドオーシャンとなっているビジネスには注意が必要です。
他社よりも品質が良い、価格が安い、キャンペーン実施中など企業との差別化ができていない場合、広告を打ち出しても売上に直結しない場合があります。
また検索されても離脱が多ければクリック回数だけが増えてしまい、広告費用が肥大化する可能性もあります。
関連記事:『リスティング広告のCPA改善方法7選!【業種別の平均CPAを徹底解説】』
広告の目的とターゲティング
新規のリードを獲得したい場合や、新しく行うイベントやセミナーへの誘導などコンバージョンの種類は多岐にわたるため、まず広告を行う目的を明確にします。
広告の目的が確定したら、次にどのようなターゲットセグメントに対して配信する広告なのか決定します。
セグメントはマーケティング用語で「購入者の年齢や性別、職業などに行われる区分」のことを指します。
またターゲットとはセグメント化したグループの中で自社の狙いたい対象のグループのことを指し、サービスで狙いたい対象グループを絞り込む事を「ターゲティング」と呼びます。
つまり自社を利用しているユーザーをそれぞれの情報で区別し、その中から広告を打ち出すユーザーの特徴を絞り出したら、それらに合わせた訴求を考えます。
目的とユーザーの絞り込みが終わった後は、コンバージョンの定義決め、目標コンバージョン数の決定、月額に使用できる広告予算の決定、広告目的やキーワードに応じたランディングページの設定を行います。
広告配信前から設定や予算の設定など多数存在するため、専門家である広告代理店に依頼をするケースも増えています。
その場合は月額で使用可能な運用代行手数料も含めて予算の決定を下す必要があります。
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
広告運用方針
広告の構成要素
リスティング広告は「キーワード」「広告」「URL」この3つの要素で構成されています。中でも重要なポイントはキーワードです。
前提としてリスティング広告は掲載される広告と掲載順位に関してオークションという仕組みで決定されます。
これはGoogleのAIが全ての広告の広告ランクを算出し、広告ランクの高い順に広告が掲載されていくものです。
この広告ランク自体が入札単価や広告とランディングページの品質などの要素により決定されます。
掲載順位や掲載される広告は主に広告の品質によって左右される重要な要素の一つです。
広告とLPの内容を一致させる
気を付けなければいけない点として挙げられるのが、広告とLPの内容が一致していることです。
どんなに高いクリック率を誇る優秀な広告を作成しても、到着先のLPで顧客が問題を解決できないと判断し、商品に不安を感じる場合はページから離脱してしまう可能性が高くなります。
合わせてLPと広告文の関連度合いも、品質スコアに影響します。
そのため広告を作る3つの要素である「キーワード」「広告」「URL」 これら全てに関連性を持たせるようにすることが重要です。
数字を利用する
ユーザーが能動的に検索していたとしても広告やLPを見るのは比較的短い時間と言われています。
そのためメリットを簡潔にまとめた広告文が必要不可欠です。
広告の効果を上げるのに適しているのは数字を用いた広告文の作成です。
例えば「利用者絶賛!」よりも「100万人のユーザーが満足と回答!」と表現した方が、数字の力で分かりやすく商品の持つ力を訴求することができます。
その一方で、使用している数字の根拠を表現するには、広告文の文章があまりにも短い場合があります。
その際はその数字がどのような分析に基づき算出されたものなのか、LPで注釈を加えればより説得力のある訴求に近づくでしょう。
関連記事:『【リスティング広告】クリック率が向上する広告文の作成ポイント8選』
Google広告のポリシー遵守
サービスについて過度な表現やユーザーに誤解を招く情報を使用してしまうと、不実表示として広告ポリシー違反になってしまいます。
特に医療品等に関しては厳しく規制されているため、広告ポリシーを熟読し違反しない事が重要です。
その他に注意する点としては偽造品の販売や宣伝の禁止、人々に危害や損傷を与える商品の宣伝の禁止、攻撃的または不適切なコンテンツの禁止が挙げられます。
関連記事①:『リスティング広告で詐欺?費用をムダにしない6つのポイント』
関連記事②:『リスティング広告の審査対策5選【Google広告・Yahoo!広告】』
キャンペーン設定
Googleの検索広告管理画面で設定を進める際に注意する点があります。
キャンペーンはアカウントの下に位置する構成要素で広告グループをまとめる階層のことです。
ここでは予算配分や商品の種類、スケジュール、地域限定配信など特定の目的によって分割して運用することができます。
そのため分割したキャンペーンごとに単価設定が適切か、予算設定に間違いがないか、各種ターゲティングの設定は適切か見直すことで広告の不確実性を小さくすることが出来ます。
広告設定
3つの要素の内の1つである広告についての設定になります。広告設定は機械学習と自動化により近年複雑になってきています。
そのため設定時点での確認が非常に重要です。
広告の遷移先URLに間違いはないか、広告文に誤字脱字がないか、広告を複数入稿しているか、広告の遷移先URLをパソコン版、スマートフォン版それぞれふり分けて設定しているか、広告に不承認はないか等を確認しましょう。
特にデバイスの内訳は非常に重要な資料です。一般的に、値段の高いものに関してはデスクトップやタブレットでの購入率が高いのに対し、スマートフォンの購入傾向が伸び悩むことがあります。
反面、商品の単価が安く比較的簡単に購入しやすい商品や消耗品はスマートフォンでの購入が多いことで知られています。
また今や誰もが日常的に使用しているスマートフォンは、商材によってデスクトップ、タブレットに比べて検索数が多くなる場合もあります。
そのため、そのデータの動向を見逃さないように分析するとともに、各遷移先に専用のLPを用意し、PCとスマートフォンで広告の訴求内容を臨機応変に変更することも効果を高める方法の一つです。
関連記事:『スマホ向けリスティング広告の特徴と成果を出す10の方法!』
キーワード設定
管理画面ではキーワードごとの指標が確認できます。検索キーワード、除外キーワード、検索語句の三つのタブを切り替えながらキーワードの確認や登録を行いましょう。
広告配信時にキーワードの中で未承認になっているものがないか、完全一致、フレーズ一致、部分一致で構成されるマッチタイプの設定確認や、上限クリック単価の金額に誤りがないか、合わせてターゲティングしたユーザー向けのキーワードが登録されているかを確認します。
関連記事:『リスティング広告のクリック率が向上するキーワード選定方法5選!』
除外キーワード
除外キーワードの登録を行い、Googleポリシーを遵守するだけでなく、購入に興味のない消費者のクリックを防ぐことで広告費用の流出を防ぐことが出来ます。
例えば、「リスティング広告 運用」法人が検索に使用している可能性が高いですが、「リスティング広告 とは」といった概念の理解を求める検索語句は個人が利用している可能性が高いです。
また検索においては法人よりも一般ユーザーの数が圧倒的に多いため、使いがちな検索語句の調査は必須といえます。
広告テキスト
リスティング広告はクリック課金であるため、できるだけコンバージョンを産まないクリックを減らすことがコストカットに重要です。
そのためターゲッティングしているユーザーに刺さりやすい訴求文を考えましょう。
例えば「全国どこでも対応」「一都三県で営業中」といった対応地域の記載や、 安心できるような信頼要素を含めた「取引実績~件」「導入企業一覧」等法人、個人の取扱い実績を記載することが重要です。
あわせてユーザーは問題を解決してくれる訴求文に目を惹かれることが多いため、「~以内に対応」といった納期の記載や、「導入で売上~%UP」等の導入効果も、基本的に数値を用いて表記するとユーザーにとって親切な広告文になります。
購入にあたって「申し込みは1分で完了」といった、登録や購入に手間が省けるメッセージを含めることも効果的です。
関連記事:『【初心者向け】成果を上げる広告文の作り方と8つの訴求軸を解説』
広告表示オプション
広告表示オプションは文字通り広告を表示する際の設定を決めることが出来ます。
その設定は多岐にわたり、項目の多さがネックになりますが、可能な限り設定を行うことをオススメします。設定できる項目の代表的な例は以下になります。
- サイトリンクは事例資料請求など設定する/リンク先を指定できているか
- サイトリンクは説明文まで設定できているか
- 価格表示オプション、電話番号表示オプションを設定しているか
- 広告表示オプションの設定でキャンペーンに紐づいているか
- オプションで不承認のものはないか 等
設定が多く初めての方には混乱する内容も多いため、運用代行者や広告代理店の方にあらかじめ相談することをオススメします。
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
効果を上げる3つのポイント【配信後】
広告効果のチェック
広告を配信した後に行う事が数値情報の確認です。ここでは効果の測定に必要不可欠な指標を紹介します。これらの数値を注意深く確認することで、広告の課題点や改善点をあぶりだすことができます。
インプレッション数
広告が何回ユーザーに表示されたかを表します。表示回数が極端に少ない場合は設定しているキーワードの変更も検討する必要があります。
クリック数
文字通り広告が何度クリックされたかを表します。インプレッション数が多く、広告がユーザーに表示されているにも関わらずクリック数が少ない場合は、広告文に問題がある可能性があります。
クリック率
インプレッション数に対して広告が何回クリックされた顔を表示する割合です。
数値が高いほど多くのユーザーが広告に興味を示したことを表します。クリック数が他の数値と比較して不自然に高い場合は、不正にクリックされている可能性もあります。
平均掲載順位
入札単価と広告ランクによってオークションで決定される掲載順位を表します。
掲載順位が低いとその分ユーザーに見られる確率が低くなるため、上位に設定されるために入札単価と広告の各要素を改善しましょう。
コンバージョン
広告をクリックしたユーザーがサイトの目的を達成し、購入者に変わることを転換という意味でコンバージョンと呼びます。
コンバージョンが少ない場合はリンク先のLPに問題がある可能性があります。
コンバージョン率
広告をクリックしてきたユーザーの内、購入者に転換した人の割合がコンバージョン率です。
例えば100回の広告クリックのうち3件の購入があればコンバージョン率は3%です。
また、各指標の数値が芳しくない場合に考えられる改善点は以下になります。
- Imp(インプレッション):広告予算や広告ランクの見直し
- Click数:検索単位、業界または広告カテゴリー、地域、配信時間や広告の種類の見直し
- CPC(クリック単価):入札単価の調整、マッチタイプの変更、品質スコアの調整、広告文の変更
- CTR(クリック率):複数の広告を設定、広告表示オプションの設定、アドカスタマイザーの使用、入札単価の引き上げ
- CPA(顧客獲得単価):CPCを下げるかCVRを上げる
- CV(コンバージョン):LPと広告の一貫性、競合の出現、LPの不備
- CVR(コンバージョン率):LPの構成やコンテンツの質の見直し
関連記事:『リスティング広告のクリック単価改善方法【CPCの相場についても紹介】』
A/Bテスト
A/Bテストとは異なる二つのパターンの広告文やバナー広告、リンク先 URLなどを用意し実際にユーザーの反応を確認しながら効果を比較するテストのことを指します。
例えば実績重視の広告文と、価格重視の広告文ではどちらがクリック数が多いか比較します。一般的に同じ広告グループの入稿本数は3本程度が目安とされています。
広告配信と同時に複数の訴求方法を効果検証しながら、適した広告を探していくことができます。
検索語句のチェック
検索語句はユーザーが検索エンジンに入力して検索する言葉のことを指します。
検索語句とキーワードの関連性が高い時に広告が表示される仕組みのため、ユーザーが流入の際に使用している検索語句を把握し、その検索語句に近いキーワードを設定することで広告の効果を高めることができます。
また、ユーザーが何を求めて流入しているのかも検索語句から仮説を立てることができるため、検索語句のチェックは必ず行いましょう。
まとめ
リスティング広告の効果を左右するものは資金だけではなく、キーワード広告 URL の一貫性や、広告ランクの質の高さです。
取り扱う商品の差別化ポイントはどこか、ユーザーの問題を解決するようなページになっているか、広告に問題があればその都度修正し改善していくことが、広告の効果を上げるために非常に重要です。
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監修者
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