みなさんはLPの最適化に対し、どれだけの時間をかけられているでしょうか。
LPの最適化とは、ユーザーに合わせてページを改良し、コンバージョン率を上げるマーケティング手法のことを指します。
現状、十分な時間をかけ対策できている場合は問題ありませんが、なかなか手をつけられていない方は、テスト形式で効率よく効果検証することが可能なA/Bテストを導入してみてはいかがでしょうか。
A/Bテストは2種類のLPを用意し、それぞれに対するユーザーの反応を確認することで、最適なLPを判断するための施策です。
当記事では、LPのA/Bテストについて詳しく解説します。
なおLP最適化について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:『LPO(ランディングページ最適化)とは?基礎知識と改善ポイント5選!』
Contents
LPのA/Bテストとは
引用:『テストのタイプ|Optimizeヘルプ』
A/Bテストとは、ユーザーに対し、同じ比率で複数のLPを表示し、どのLPが最も効果が高いのか検証するためのテストです。
時期をずらして検証を行う場合、季節的な要因やキャンペーン施策による影響など、外的要因によって結果に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、各パターンを同時にテストできるA/Bテストは、外的要因を排除した状態で検証することが可能であるため、信頼度の高いデータを得やすいといった特徴があります。
参考:『A/B テストを作成する|Optimizeヘルプ』
参考:『Sitecore での A/B テスト|SB Technology』
A/Bテストの優れている点
A/Bテストの他にも、LPを最適化するための施策は複数存在します。
そのため状況に応じて使い分ける必要があります。
LPを最適化する施策はA/Bテストの他に、多変量テストやリダイレクトテストなどがあります。
多変量テスト
引用:『多変量テスト(MVT)を作成する|Optimizeヘルプ』
多変量テストでは、LPの一部分だけでなく、複数の異なる要素を組み合わせることによって多くの組み合わせのLPを制作することができ、一括で最適なパターンを導き出すことが可能です。
リダイレクトテスト
引用:『テストのタイプ|Optimizeヘルプ』
異なるWebページを相互に比較する際に使用します。
ページデザインの抜本的な変更を行う場合に便利なテストです。
参考:『リダイレクトテストを作成する|Optimizeヘルプ』
リダイレクトテストの事例
多変量テストとリダイレクトテストの実施でLP改善に成功した企業にDVDレンタル行うTSUTAYAがあります。
TSUTAYAはリダイレクトテストでインパクトのあるデザインと情報の整理されたデザインのどちらがユーザーに効果的かを判断したのちに、セクション毎のクリエイティブを作成し、合計960通りの組み合わせの多変量テストを実施しました。
引用:『960通りのLPを多変量テスト、コンバージョン率20%改善!』
テストの結果、コンバージョン率の20%上昇を達成しました。
それでは、多くの施策の中でA/Bテストが優れている点はどこなのでしょうか。
A/Bテストの優れている点は以下の2点です。
- 変更する部分が1箇所であるため、手軽にテストを実施することができる
- 少ないトラフィックで有意なデータを獲得することができる
変更する部分が1箇所であるため、手軽にテストを実施することができる
多変量テストの場合、効率的な要素の組み合わせを1回の設定で行うことが可能ですが、テスト開始までに様々な要素を用意する必要があり、開始するまでに時間がかかってしまいます。
リダイレクトテストの場合も同様で、既存のLPとは別に新規のLPを制作する必要があるため手間を要します。
これに対し、A/Bテストは変更箇所が1箇所であるためすぐにテストに取り掛かることが可能です。
手間がかからないので、初心者でも始めやすい施策です。
少ないトラフィックで有意なデータを獲得することができる
A/Bテストは少ないサンプル数で有意なデータを獲得することが可能です。
統計学上、標本誤差の有意水準5%以下の母数単位では400データ以上ある場合、精度の高い分析を行うことが可能です。
参考:『アンケートで必要なサンプル数は?「100説」vs「400説」』
400個のデータから精度の高い情報を獲得できる要因は信頼水準と標本誤差にあります。
必要なサンプル数は信頼水準と標本誤差から以下のような式で求めることが可能です。
参考:『調査に必要な対象者数-総務省統計局・統計研究研修所』
事前に参考となる情報がない場合は必要な調査対象者数が最大になる回答比率50%を用いて、必要サンプル数を算出します。
以上をもとにサンプル数を算出した場合、以下の表のようになります。
有意水準=0.05 | 信頼係数 | ||||||
許容誤差 | 70% | 75% | 80% | 85% | 90% | 95% | 99% |
1% | 2,685 | 3,308 | 4,106 | 5,181 | 6,764 | 9,604 | 16,587 |
5% | 107 | 132 | 164 | 207 | 271 | 384 | 663 |
10% | 27 | 33 | 41 | 52 | 68 | 96 | 166 |
15% | 12 | 15 | 18 | 23 | 30 | 43 | 74 |
例えば、400人中200人が「はい」と回答した場合、95%の確率で全ユーザーの45%~55%が「はい」と回答することがわかります。
引用:『アンケートで必要なサンプル数は?「100説」vs「400説」』
A/Bテストの場合、2種類のLPをそれぞれ400人のユーザーが閲覧した際に有意なデータを獲得することが可能です。
合計800ユーザーが閲覧した際に十分なデータを獲得できることから、比較的小規模な企業や店舗でも使用することが可能です。
多変量テストの場合、トップページやCTAボタンなどに対し様々な要素を設定し検証を行うため、様々なパターンのLPが制作されます。
多ければ多いほど必要な閲覧数も増加するため、エリアやターゲットとなるユーザー層を絞って配信を行なっている店舗、企業にとっては敷居の高い施策です。
LP改善に時間がかけられない方や、エリアやユーザー層が原因で多くのユーザーからの閲覧が見込めない場合、まずA/Bテストから始めることをおすすめします。
関連記事:『【初心者向け】記事LPとは?採用する2つのメリットを紹介』
LPのA/Bテストを行う際の注意点
- なるべく同じ条件で検証を行うこと
- あらかじめデータ量の目安を決定しておくこと
- 劇的な効果改善は見込めないこと
A/Bテストを行う際は以上の3点に注意するようにしましょう。
なるべく同じ条件で検証を行うこと
A/Bテストでは、何が原因で効果が出たのか把握する必要があります。
一気にサイトを変更するのではなく、何が原因で効果が変化したのか把握できるように少しずつサイトを変更していきましょう。
例えば、ファーストビューを変更する際は、画像と訴求文を一回のA/Bテストで変更するのではなく、どちらか一方ずつ変更することで、改善に役立つのはどちらなのか把握することにつながります。
参考:『A/Bテストって何のためにやるの? 月間100億PVサイトのエンジニアが教える、いまさら聞けないデータ活用入門』
あらかじめデータ量の目安を決定しておくこと
十分なデータが集積できていない場合、きちんと効果検証を行うことはできません。
短い期間でのA/Bテストでは、意図的に効果を操作することも可能であり、有意なデータを獲得することが難しいです。
信頼できないデータのテスト結果を踏まえ、改善を行った結果、数字が落ちてしまうことも考えられます。
そのため、あらかじめ、どの程度データが集まれば十分かを把握し、十分なデータが集まるまでは効果の良し悪しを判断しないように注意しましょう。
参考:『マーケターが「よくやっているけど意味のない業務」と「成果を出すためにやるべきこと」って?WACUL垣内氏インタビュー』
A/Bテストのデータ数がどの程度必要かは計算ツールを使用することで把握することが可能です。
例えば、以下のような計算ツールがあります。
引用:『ABテストのサンプルサイズの計算 – Keisan』
劇的な効果改善は見込めないこと
A/Bテストは効果を劇的に改善する施策ではなく、10~20%のコンバージョン率の向上を目指す施策です。
2倍以上のコンバージョン率を改善したい場合は、A/Bテストではなく、より抜本的に改善する必要があります。
そのため、A/BテストでのLP改善の期待値を事前に把握することが重要です。
参考:『WACUL垣内氏に聞く!3万サイトを分析したプロが教える・知られざるLPの必勝法とは?』
圧倒的なLP改善をしたい場合は、A/Bテストを繰り返すのではなく、別の施策を試すことも手段の1つです。
A/Bテストを開始する前に必要な準備
LPのA/Bテストを実施する際は、あらかじめ以下のような準備をしましょう。
- 目的を設定する
- 現状から仮説を立てる
LPの最終的な目的はCVを獲得することです。
CVを達成するためには、「直帰されないLPにする」「クリック率の高いLPにする」など様々な小さな改善を積み重ねる必要があります。
LPでA/Bテストを実施する際はまず何を改善したいのかをはっきりさせる必要があります。
A/Bテストを実施する前に目的をはっきりさせておくことで、直帰率を改善するために施策であれば、ファーストビューのクリエイティブでA/Bテストを実施するなど改善すべきポイントが定まります。
また、A/Bテストでは仮説を立てることが非常に重要です。
仮説を立てずにA/Bテストを行なった場合、有意な結果が得られた場合でも根拠を把握することができず、データから知見を得ることができません。
A/Bテストから得た情報を他のクリエイティブの改善に役立たせるためにも仮説を立てて検証することを徹底しましょう。
なんで「直帰率が高いのか」、「なぜクリック率が低いのか」などを追求し、結論を出した上で実際にA/Bテストを実施するようにしましょう。
関連記事:『ファーストビューとは?LPの直帰率を改善する6つのポイントとは』
A/Bテストの実施方法
A/Bテストは便利なツールを行なって実施することが一般的です。
ツールを使用することで、テストの作成から分析まで一連の流れで完結することが可能です。
A/Bテストを実施できるツールの1つにGoogleオプティマイズがあります。
引用:『Googleオプティマイズ』
直感的な操作でHTMLの書き換えを行うことが可能で、テストの作成から分析まで無料で行うことが可能です。
Googleアナリティクスと連携できるため、普段Googleのツールを用いて分析を行っている方におすすめのツールです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:『GoogleオプティマイズでA/Bテストする方法とよくある3つのテスト例』
A/Bテストの効果検証方法
A/Bテストの効果検証を行う際は、Googleオプティマイズなどのツールやユーザーがどこまで読んだかを把握するためにGoogleタグマネージャーやヒートマップなどを用いて分析を行います。
Googleオプティマイズでは最適である確率を把握することが可能です。
簡単にどちらが優れているかを把握することが可能であるため、A/Bテストを行う際は必ずチェックするようにしましょう。
また、スクロール率を把握することでファーストビューなどを改善した際に直帰率にどれだけ効果があったかなどを把握することが可能です。
スクロール率とは、ページ全体を100%としたとき、ユーザーが何%まで読んだかを表します。
離脱率を改善するためのA/Bテストを実施している場合であれば、スクロール率を確認することで効果的な施策であったかどうかを把握することが可能です。
スクロール率はGoogleタグマネージャーを用いて測定することが可能です。
参考:『Googleタグマネージャーでスクロール率を設定する方法』
また、視覚的にスクロール率を把握したい場合ヒートマップを使用することもおすすめです。
参考:『無料ヒートマップツール「Clarity」の使い方と4つの特徴』
A/Bテストは1度だけでなく何度も繰り返し仮説を立てテストし、分析を行うことでさらに質の高いLPに近づけることが可能です。
少しでも効率的なLPになるように、PDCAサイクルを回し続けましょう。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
まとめ
LPにおけるA/Bテストは効果検証する手法の中で簡単な方法の1つであり、少ないデータ数でも十分な検証を行える点や、ツールを用いることでコーディングやWordPressなどのCMSを使用せずに、テストできることから誰でも簡単に取り組める施策です。
現在のLPに不安を感じている方やさらに効果的なLPを作成したい方はまずA/Bテストを導入してみてはいかがでしょうか。
またテストする際は、一気にLPを改善しない、集めるデータ量を決定しておく、現状の課題を把握することの3点に注意しましょう。
これらの注意点に基づき目的を決定し、仮説を立てて検証を行うことで、効率的なテストを実施可能です。
A/Bテストの特徴に効果検証しやすい点があります。
ツールを組み合わせて知りたい情報を把握しやすいため、きちんと分析を行い、PDCAサイクルを回す中でより良いLPを目指しましょう。
また、LPの最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
matsuyama2012年創業のWeb広告代理店、株式会社Unionが運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。